自主防災訓練の実施


 災害時に一人でも多くの命を守るためには、平常時から自主防災組織の防災委員だけではなく、地域住民の多くの方が自主防災活動の必要性を理解するとともに、防災訓練などに参加して実践力を身につけることが大切です。

防災訓練の成果をあげるために

 訓練における成果は、第1に「地震発生時に役立つか」であり、第2に「防災知識が身につくか」の2つに大別されます。訓練をしても災害に適応できなかったり、住民に防災意識が根付かなければ、ただ単に、便宜上行っているだけになってしまいます。訓練の成果をあげるために次のことを実践しましょう。

1.防災訓練の実施計画を立てましょう
 決められた時間内で訓練をするためには、目的、実施要領などを明らかにした実施計画書をつくり、危機管理課にご相談ください。

2.関連機関との調整を行いましょう
 実施計画書ができた段階で、事前に消防団などの防災関係機関に内容を検討してもらい、協力を依頼します。
 会場を確保したら、危機管理課や防災関係機関に早めに届け出るようにしてください。(危機管理課には「自主防災訓練予定申込書(実施計画書)」をご提出ください。)
 消火訓練や救出救助訓練などは危険を伴いますので、消防機関との入念な打ち合わせが不可欠となります。訓練予定日の直前に再度確認をしておくことが重要です。

地域と特性に応じた訓練の実施

 土砂災害警戒区域か、住宅密集地で延焼火災の危険予想地域かなど、その地域の特性を考えた訓練を実施しましょう。

急傾斜地に隣接した地域:山・がけ崩れを想定した訓練

住宅密集地:延焼火災を想定した訓練

事業所が混在した地域:住民と事業所の合同訓練

病院に隣接した地域:住民と病院の合同訓練

防災訓練の実施の周知徹底、日時や訓練内容に変化をつける

1.訓練の実施を周知徹底
 訓練日時を記載した回覧板やポスター・チラシ、町内放送などを利用して、訓練の実施を「知らなかった」人がいないように徹底しましょう。

2.訓練の日時に変化をつける
 いつも同じ日時に実施していると、同じ人しか参加できないので、休日や夜間などなるべく多くの人が参加できるように日時設定に変化をつけましょう。

3.訓練内容に変化をつける
 様々な年代の人に参加してもらうことが望ましいので、各回テーマをしぼり、地域の災害を想定したイメージトレーニングや女性のみによる避難訓練、中学生や高校生による情報伝達訓練、高齢者や子どもを対象とした訓練など変化をつけてみましょう。

興味を持って参加、楽しめる訓練

 参加者は、「いつも同じ人ばかり」と思ったことはありませんか。訓練に参加するということは、自主防災組織の活動を理解してもらう良いチャンスです。訓練の中にイベント的な事柄を取り入れるなど、少しでも参加しやすくなるような工夫をしましょう。また、外国人や身体の不自由な方(災害時要援護者)などにも積極的に参加してもらうため、平常時からコミュニケーションをとるよう心掛けてください。
【具体例】
・起震車体験
・地域のイベント(運動会、お祭りなど)に合わせて行う訓練
・1泊2日のテント生活体験   など

事故防止

1.危険を伴う訓練には専門家の指導を
・消火訓練や救出救助訓練は消防署員などの専門家の指導を受けましょう。

2.事前に十分な説明を
・訓練を始める前には、必ず事故防止について参加者に注意をしましょう。
・訓練で使用する資機材については、操作方法、危険性などについて事前に十分説明しましょう。

3.服装は訓練に適したものを
・服装は訓練に適したものとし、軍手、ヘルメット(防災ずきん)を着用しましょう。

4.訓練中に事故が発生した場合は適切な措置を ・訓練中、整理整とんに気をつけましょう。
・訓練中には事故防止に万全の注意を払い、万一事故が発生した場合はケガ人の救護を最優先にするなど、適切な措置をしましょう。

 なお、訓練中にケガをした場合、事前に市に届け出があった訓練については、市で加入している保険で対応できますので、必ず事前に実施計画書を提出してください。

代表的な防災訓練

訓練名称 概要
初期消火訓練 大地震が起こると、多くの場合火災が発生します。阪神・淡路大震災でも、火災により大きな被害が発生しました。関東大震災のときには、東京で亡くなった方の95%が火災によると言われています。恐ろしい火災を起こさないために、各家庭での出火防止対策を積極的に行うとともに、火災発生時の初期消火方法を習得しておくことが大事です。
自主防災組織は初期消火を狙いとして訓練します。代表的な訓練にはバケツリレーによる消火、消火器による消火、可搬ポンプによる消火があります。
救出救助訓練 自主防災組織の救出・搬送は、地震発生直後に家屋等(ブロック塀を含む)の倒壊により下敷きになった人を鉄パイプや角材、ジャッキなどを使用して救出し、搬送することを訓練します。
応急救護訓練 応急救護や手当の訓練にあたっては、いくつかの負傷の状況を想定して実施することになります。
応急手当とは、医療機関で診療を受けるまでのとりあえずの処置のことですが、正しい手当でなければかえって容体を悪化させたり、命に関わることにもなりかねませんから、訓練は真剣に行う必要があります。
救護訓練では専門的な知識を要するので、消防署などの関連機関から救護の専門家に参加してもらい、指導を受けるようにします。
自主防災組織の救護班は、住民参加の訓練とは別に、日本赤十字社や消防機関などが行う救命講習や応急手当指導員公衆などを受講して、より専門的な訓練を受けるようにしておきたいものです。
情報収集訓練 山・がけ崩れ危険予想地域や延焼火災で危険になった場合は、自主防災組織が、地域内の避難の状況、発災に伴う被害状況(死傷者、建物、交通路等の破損の程度)、火災発生状況、生活情報等を収集し、正確・迅速に市対策本部に報告し、必要があれば支援を要請する手順を訓練します。
情報伝達訓練 市対策本部などの防災関係機関からの情報や指示事項、ラジオやテレビから得た情報を正確・迅速に住民に伝達する要領を訓練します。
本部運営訓練 突然災害が発生した場合には、役員がそろわないことが予想されますが、スムーズに本部が立ち上がるように、設置場所や役割分担等を確認しておきましょう。
避難訓練 突然災害が起きたり、警戒宣言が発令されたときに、避難経路や避難所などが周知されていれば、素早く避難することができます。また、避難方法だけでなく、リーダーとしての誘導方法や一人で避難することが困難な人の避難の手助けなどを習得することも大切です。訓練は突然発災時と警戒宣言時の行動に区分して行います。
給食・給水訓練 救助物資を必要とする人数を町内会の班別に集約し、各班のリーダーが常に給食・給水のシステムに従って配給できれば、混乱も減少し、皆が公平に救援物資を入手することが可能になります。各班のリーダーは、常に班の人数を把握し、避難所本部に報告・協力することが給食・給水活動の大事なポイントです。
図上訓練 (ディグ)
DIG
参加者が地図を囲みながらゲーム感覚で災害時の対応策を考える災害図上訓練のことで、Disaster(災害)、Imagination(想像)、Game(ゲーム)の頭文字を取って名づけられました。
(ハグ)
HUG
避難所運営
ゲーム
東海地震等の大規模災害が発生すると、避難所には多様な状況の避難者が多数押し寄せます。迅速に対応するためには、住民の自主的な連携の中で、いかに速やかに避難所を適切に運営していくかが課題となります。
HUGは、ゲーム参加者が避難者を体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。
クロスロード クロスロードは、カードを用いたゲーム形式による防災教育教材です。災害対応時に直面する様々なジレンマをゲームを通じて疑似体験していきます。参加者は、カードに書かれた事例について、YESかNOかで自分の考えを示すとともに、自分がなぜその決断をしたのかを説明し、実際の災害現場でどんな対応が求められるのか意見交換を行いながら進めていきます。
ゲームを通じ、自分とは異なる意見や価値観に気づくことができます。