事業所 地震発生時の対応


地震発生時に各業種に期待されることは次のとおりです。

卸売・小売業者

 卸売・小売業者については、食料品や日用品をはじめ、医薬品、身の回り品など、各種生活必需品の販売、供給を行うことから、住民にとって最も身近で不可欠な業種です。とりわけ、コンビニエンスストアや大型ショッピングセンターは、全国ネットワークによる商品管理と配荷システムを行っており、発災時にも商品の調達が可能であると思われます。生活必需品の供給は、あらかじめ締結された協定等により避難所に優先的に供給されます。

建設・建築業者

 建設・建築業者については、建築資材や重機(フォークリフトやブルドーザー等)を保有していることから、倒壊建物や大型廃材の移動若しくは処分又は道路上の障害物の除去に大きな力を発揮することが期待されます。また、救出訓練時における資機材の貸与や建物の耐震化の指導など、平常時の防災対策指導も可能です。平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、倒壊した建物の下敷きによる犠牲者が大多数であったことから、建設・建築業の果たす役割は非常に大きいと言えます。
 ただし、緊急輸送路の復旧作業や応急仮設受託の建築資材調達などについては、あらかじめ業者が定められたおり、公の復旧事業が優先される場合があります。

医療・福祉事業者

 平成16年10月に発生した新潟県中越地震では大きな余震が続いたため、避難生活が長期化し、ストレスで健康を害する者が出るなどの問題が生じました。  医療・福祉事業者については、避難所での住民のメンタルヘルスケア、災害ボランティア等との連携した災害時要援護者に対するケアに関する支援など非常に大きな役割が期待されています。

製造業者

 ある程度の規模を有する製造業者は、工場や倉庫、敷地、社員・従業員をはじめ、緊急用物資や資機材を保有していることから、緊急時には一時的な避難場所として敷地の解放、周辺地域への社員応援派遣、物資や資機材の供与・貸与が可能と思われます。これ以外にも、事業所の防災担当職員が講師や指導者として、近隣地域へ出向き、専門的な視点で訓練指導を行うことができます。特に、市街地や住宅地に近い場所に立地する事業所は、周辺地域との連携が必要であると考えられます。

その他の業種に期待される地域への貢献

○農業・林業
 ・緊急時における食料等の供与

○情報通信業
 ・被災者に必要となる生活関連情報
 ・安否情報の収集・提供

○運輸業
 ・生活・救援物資、復旧資機材等の輸送
 ・業務無線による災害情報の収集
 ・空き倉庫等での防災資機材や発災時の救援物資の仮保管

○不動産業
 ・一時的な避難等のための遊休物件の貸与

○飲食店・宿泊業
 ・災害ボランティア等の受け入れ場所の提供並びに炊き出しを行う場合の連携・協力
 ・観光客等の一時的な避難場所の提供
 ・帰宅困難者への施設の開放

○教育・学習支援業
 ・学校の授業中断時期の児童・生徒の支援

○サービス事業
 ・災害ボランティア等と連携した支援
 ・生活・救援物資等の調達・輸送
 ・ガソリンスタンドや自動車修理業者による工具類の貸与
 ・レッカー・クレーン業者による業務用車両の活用