災害時における避難行動要支援者の避難支援の取組み(芙蓉台自治会)


自主防災活動の好事例として芙蓉台自治会の「災害時における避難行動要支援者の避難支援の取組み」の概要を紹介します。

現状と課題

  • 芙蓉台自治会は、1丁目から3丁目によって構成されており、人口は、2,337人、世帯数は997世帯(H28.3.31時点)となっています。
  • 芙蓉台自治会における、市の定義する「避難行動要支援者」の数は、三島市から提供された避難行動要支援者名簿(対象者168人)の情報をもとに、芙蓉台支援者会と民生委員の連携による再調査を実施した結果、要支援者数(支援される人)29 人で人口の1.2 %となっています。

改善点と活動のポイント

① 要支援者に特化した組織・グループづくり
自主防災組織では、短期間で役員の方が交代する場合が想定されますが、単年度で終わらない取組として、継続的な活動が行えるよう、専門の組織やグループを作ったこと。

② 地域において本当に支援が必要な人は誰かを考える。
芙蓉台支援者会では、三島市から提示された名簿をそのまま活用するのではなく、その中から、本当に支援が必要な人を絞り込み、支援者名簿を作成しています。
地域において、どれくらいの方々が支援者となることができるかを想定したうえで、要支援者を絞り込む必要があります。自主防災組織とは別のグループで活動することで、支援者名簿から外れてしまった方も、自主防災組織全体の活動でサポートすることが可能となります。

③ 取組に対する共通の認識を持ち、無理のない活動を行う。
この取組や活動は、必ず行わなければならないものではなく、また、支援を行う体制が整ったとしても、要支援者の方は必ず助けてもらえるわけではありません。特定の誰かだけの負担となるのではなく、地域全体で取り組んでいく必要があります。助ける側も、助けられる側も共通の認識を持ち、無理のない活動を心掛けていること。

支援者会の活動

芙蓉台全体会議
① 事務局会議
毎月1回、事務局による会議を開催します。会議では、要支援者の近況などについて、関係者間における情報の共有を行い、「要支援者と支援者名簿(支援者会作成)」を常に最新の情報に更新しています。

② 全体会議
支援者全員を対象とした全体会議を、年2回開催します。
8月:支援者に対して、要支援者の安否確認避難訓練や、防災訓練の説明会を実施します。
3月:次年度への対応として、支援者に対して、要支援者との顔合わせ、個別の支援方法などの確認を依頼します。(会議終了後は、ブロックごとの打ち合わせも行います。)

芙蓉台支援者会の設置

芙蓉台事務局会議
  • 芙蓉台自治会が防災マニュアルを策定したことに伴い、要支援者に対する支援に特化するため、平成22年度に「支援者会」が発足しました。
  • 自治会の役員を退任した方や、民生委員・児童委員などを中心に事務局を構成し、芙蓉台自治会・自主防災会の役員の方々の任期が約1年であるのに対し、任期の定めなしで活動しています。
  • 支援者はボランティアとしており、地域の中学生も参加しています。 

避難支援活動の年間の流れ

芙蓉台フロー図
① 9月頃
三島市の避難行動要支援者名簿と「要支援者と支援者名簿」の内容確認を行います。市の名簿に新しく追加されている人がいた場合は、支援者会会長と民生委員が家庭訪問を行い、「要支援者と支援者名簿」に掲載するか否かの判断を行います。追加する場合は、該当者に「個別計画書」等を記載してもらいます。

② 10月以降~2月頃
3月の「全体会議」の開催に向けて、登録された要支援者に対して、支援者の割り振りを行います。

③ 3月頃
支援者全員を対象とした「全体会議」を開催し、顔合わせの依頼を行います。これにより、誰が、誰を支援するかを相互に認識できるように図っています。

④ 4月頃
依頼した顔合わせの結果をとりまとめ、「要支援者と支援者名簿」が完成します。(※新しい情報が入った場合には、随時更新)

⑤ 8月頃
全体会議を開催し、自治会の防災訓練の際には、支援者会として要支援者の安否確認避難訓練を実施しています。

要支援者と支援者名簿について

芙蓉台支援者会では、三島市から提供された避難行動要支援者名簿をもとに、独自に「要支援者と支援者名簿」を作成しています。
作成のための第1段階として、支援者会会長と民生委員・児童委員による家庭訪問の結果、追加する必要がある方には、以下の「避難支援プラン・個別計画書」を記載してもらいます。
【記載内容】
①要支援者の基本的な状況(氏名、住所、血液型など)、②健康状態、③足腰の状況、④介護施設の利用、⑤かかりつけ医療機関、⑥防災訓練参加の有無、⑦組長への情報提供可否など

避難支援プラン・個別計画書の集計後
該当する方の「避難支援プラン・個別計画書」を集計して、登録された支援者の割り振りを行い、3月に実施している全体会議において、顔合わせ実施の依頼を行います。

支援者と要支援者の顔合わせ

支援者と要支援者の顔合わせ
顔と顔を合わせた関係を築くため、3月の全体会議での顔合わせの実施にあたっては、顔合わせ用様式を活用しており、この様式では、以下の項目を記載しています。
【記載内容】
①要支援者名、②支援者名、③支援者の自宅から要支援者宅までの所要時間、④要支援者と要支援者宅の状況(要支援者は歩行可能か、⑤階段を自分で降りられるか、一時避難所等)、⑥要支援者を避難させるのに必要な機材など。

要支援者と支援者名簿の完成
各支援者が顔合わせを実施し、ブロック長とりまとめにより、事務局において「要支援者と支援者名簿」を完成させます。顔合わせ前の「要支援者と支援者名簿」では、健康状況や避難器具の必要性についての項目はありませんが、完成した名簿では、上記項目を一覧に加えることで、誰が、どのような状況で、どのように支援を必要としているかが、一目でわかるよう整備されています。

好事例啓発用チラシ

芙蓉台自治会の避難行動要支援者の避難支援の取組み

問い合せ

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【福祉総務課 】
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FAX 055-976-5555