【コラム】 三島市の水道事業を考える(1)

はじめに

平成28年4月14日、16日に発生した熊本地震で水道が寸断され、熊本市は水道が市内全域の復旧に2週間以上を要し、その後も漏水対応に追われました。
熊本市は三島市同様に地下水を水源としており、地震で地下水脈にも影響が及びました。

また、上水道事業は市民の皆様からの水道料金で経営されている地方公営企業※です。
市の条例の規定による、「水道事業審議会」を平成28年7月から開催し、市議会議員、有識者、市民による審議が始まりました。
日ごろ、蛇口をひねると安全な飲料水が供給される上水道事業の状況と課題について連載していきます。

※地方公共団体が経営する地方公営企業法の適用を受ける事業。一般会計とは切り離された特別会計での独立採算性を採る。

三島市の水道事業の歴史

伊豆島田水源

三島市の水道事業は、昭和23年に旧陸軍軍用水道施設(一番町給水場などの施設)の無償貸付を受け、昭和24年に事業を開始し、昭和32年に開始した第1次拡張事業から平成7年の第5期拡張事業までの39年間、供給区域を広げていきました。
高度成長期の経済成長、東名高速道路の開通、新幹線三島駅の開設、宅地開発などによる都市の発展、人口増加に伴い、水需要が年々増え、裾野市伊豆島田に浄水場を建設し、人口増加による水需要の増大に対応しました。

また、人口増加への対応や地下水の枯渇の懸念などの理由で、熱海市、函南町と共に清水町の柿田川湧水から水道水を供給する県営駿豆水道事業の創設を県に要望し、駿豆水道による供給が昭和50年から開始され、これに伴い市内の小規模な給水施設を廃止し、2つの水源による水道供給事業を続け、現在に至っています。

このほか、市内には佐野見晴台と山中新田地区には、それぞれ区域内に独自の水源を設け、市営簡易水道による水道水の供給を行っています。市営の水道事業以外にも、民間の経営による簡易水道や地域で運営している飲料水供給施設があり、市民に飲料水が供給されています。

○写真は伊豆島田水源(昭和50年代に撮影)

水道事業審議会を開催しています

三島市の水道事業は、富士山の恵みの地下水をこれまで11万人の市民に供給し、68年間が経過しています。
この間、消費税の徴収や税率の変更以外に、昭和57年の料金改定を最後に、業務の民間委託、職員の削減、遊休不動産の売却など、経営効率を高め、経費節減に努め、県内の市の中でもトップクラスの安価な水道料金を34年間堅持し、現在に至っています。

これまで人口増加に対応して整備してきた、施設や管路のうち高度成長期のものが老朽化し、更新時期を迎え施設整備の必要が生じております。
また、今後発生が想定される東海地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備え、「三島市水道ビジョン」及び「三島市水道ビジョン(改定版)」を策定し、計画的に施設整備を行ってきました。

このような状況の中、15年前ほどから始まった水需要の減少による水道料金収入の落ち込みにより、平成26年に33年振りの赤字決算となりました。
現在は、市が給水にかかっている経費(給水原価)が、市民の皆様からいただいている水道料金(供給単価)を上回る逆転した営業状況となっており、市の水道事業経営を圧迫しています。

そこで、市の条例に基づき市議会議員や有識者で構成される「三島市水道事業審議会」の第1回会議が平成28年7月13日、第2回が7月29日に開かれ、水道事業の料金体系や経営状況などの審議が始まりました。
審議会は、原則公開で、どなたでも傍聴できます。会議の開催情報や会議録は、市のホームページ や市役所の情報公開コーナーでご覧いただけます。

幸原簡易水道を市の上水道に統合します

市内の幸原町の住民約2,000人弱の飲料水は、大正15年から地域が経営していた幸原簡易水道組合が運営する独自水源、料金体系により供給されてきました。
地域住民に今後も安心安全な水道水を継続して供給し、大規模災害の発生などに対応していくため、簡易水道事業を廃止し、市の上水道に統合する申し出があり、平成28年10月1日に統合することとなりました。
10月からは、市の伊豆島田浄水場からの上水道供給に切り替わります。