歴史の偉人ゆかりの地15 三島田町駅 (井上靖)  (平成25年6月1日号)

 『しろばんば』など数々の名作で知られる文学者井上靖は、少年時代の一時期を伯母の嫁ぎ先である三島で過ごしています。

当時の生活を描いた自伝的小説『夏草冬濤(なつぐさふゆなみ)』には、主人公の洪作が「町の端れにあった」駅の近くに住む友人のおばを訪ねるシーンがあります。この駅は現在の三島田町駅で、当時は三島町駅と呼ばれていました。

 小説に描かれた大正時代、東海道線三島駅(現在の下土狩駅)と伊豆方面を結ぶ駿豆鉄道(現在の伊豆箱根鉄道)の三島町駅からは、沼津までの路面電車も出ていました。雨の日の通学や郷里・湯ヶ島への帰省などに、洪作少年もたびたび三島町駅を利用していたことが小説に描かれています。

 三島町駅は昭和三十一年に改称され、現在の名称である三島田町駅となりました。

現在の三島田町駅
▲現在の三島田町駅

【広報みしま 平成25年6月1日号掲載記事】