三島の歌碑・句碑8 のずえなる 三島のまちの あげ花火 月夜のそらに 散りて消ゆなり  ―若山牧水―  (平成21年8月1日号)

 若山牧水は明治18年、宮崎県に生まれました。大正9年、東京の生活に疲れ沼津に移り住み、43歳で亡くなるまでの8年間をここで過ごしました。千本松原を愛し、沼津周辺の風物を歌い続けました。

 この歌は、沼津に移り住んでから1年後、三嶋大社夏祭りの花火を見て詠まれたものです。牧水にとって平穏だったこの時代ですが、将来への不安を抱えていたのかもしれません。酒をこよなく愛した牧水は、このころから酒が原因の体調不良に悩まされ、また晩年は負債償還のため苦難にみちた揮毫(ぎごう)旅行を続けることになります。

 華やかな花火が散って消えゆく様子は、まるでその後の人生を暗示しているかのようで、せつなく儚(はかな)い歌に感じられます。

若山牧水歌碑(三嶋大社境内)
▲若山牧水歌碑(三嶋大社境内)

【広報みしま 平成21年8月1日号掲載記事】