トップページ > 市の紹介 > 地勢・歴史 > 三島アメニティ大百科 > 目次 > 富士山

富士山

成層火山(せいそうかざん)としての富士山


 美しい姿で世界的に有名な富士山は、典型的な成層火山で、緩やかな裾野を四方に広げています。何層かに重なっている富士山は、まず数十万年前に小御岳(こみたけ)火山ができ、次に数万年前に古富士(こふじ)火山、そして新富士火山の噴火が起こり、小御岳、古富士をほぼ埋め尽くして、約1万4千年前に今の円錐(えんすい)形の富士山になりました。江戸時代の宝永(ほうえい)4年(1707)に南斜面から噴火して宝永火口ができましたが、それ以後、噴火活動は休止しています。


気象(きしょう)と湧水(ゆうすい)


 富士山に、はなれ雲やおび雲が見られると好天になると言われ、笠雲(かさぐも)や吊(つる)し雲が見られると、悪天候になると言われています。夏の一時期を除いて、山頂はほとんど氷点下で、年間平均気温は、およそマイナス7℃です。また、山頂は風も強く、年間平均風速は秒速12mです。

 富士山の降雪降雨量は、年間約22億tと言われています。それらの多くは地下水となり、やがて溶岩の隙間
(すきま)から地表に湧き出し、昔から人々の暮らしに役立ってきました。三島も、富士山からの湧水の恩恵を十分に受けてきました。しかし、湧水の減少は残念ながら事実です。市民の努力と、行政、企業の協力で、少しずつ良い方向に向いていますが、これからはもっと広域での協力も必要になることでしょう。

 標高3,776mの富士山は、100m高くなると気温が約0.6℃下がるということで、標高によってさまざまな動植物の垂直分布が見られます。特に鳥類は、全国で見られる4分の1の種類が、確認されているそうです。


富士山のなりたちと湧水 富士山のなりたちと湧水


しい富士山を守るために

 
 年々人気の高まる富士登山ですが、夏山開きの7月1日から8月31日までの、登山客の置き土産(ゴミやし尿)が大きな問題になっています。平成12年(2000)7月には、特定非営利活動法人富士山クラブを中心に、環境に配慮したスギの小片とバクテリアを利用した、バイオトイレの設置が実現しました。「ゴミは自分で持ち帰る」などの基本ルールをみんなで守り、富士山の環境保護に努めたいものです。

 富士山は、何合目で高さの目安を表しますが、これには諸説あります。米粒をパラパラと落としながら登った人が、1合なくなったときに、そこを1合目としたという説。夜間登山で、ランプの油が1合なくなったところを1合目としたという説。登山時の難易度を考慮して、各合目を決めたという説など、さまざまです。

 平地では、約236q圏内だったら富士山が見えると言われています。雲さえなければ、美しい富士山の姿を約40km地先に見ることができる私たちは幸せです。「富士山が見えるところで、東京から新幹線で1番近い駅はどこかと聞いたら、三島だと教えられたので来ました」という外国人がいました。高い山からなら、北は福島県から、南は和歌山県からも、富士山は見えるそうです。多くの人々にとって、昔から憧
(あこが)れの山なのです。

 さまざまなジャンルで、富士山はいろいろな形で取り上げられてきました。文学、絵画、版画、写真、歌など、数え切れないほどです。そして世界遺産(いさん)に登録を、という声もあり署名(しょめい)運動もなされましたが、環境問題等で未解決のことも多く、まだ実現していません。近くに住む者として、私たちには何ができるのでしょうか。大きな課題です。


→  富士山のビューポイント、富士登山開山式
出典  『富士山の自然と恵み』、『富士登山ハンドブック』、『富士山大沢崩れの発達と御中道経路の変遷』


目次へもどる 次ページへ 前ページへ 表紙へもどる