トップページ > 市の紹介 > 地勢・歴史 > 三島アメニティ大百科 > 目次 > 溶岩

溶岩

三島溶岩流(みしまようがんりゅう) 

           

溶岩の形成図
溶岩の形成図

                 
 何度も噴火を繰り返し、富士山は現在の形となりました。専門家はそれ以前の山と区別して、新富士と呼んでいます。新富士火山の噴火では、高温で珪酸けいさん分が少なく粘り気の弱い黒っぽい溶岩を、繰り返し噴出しました。噴火の初期には多量の溶岩を噴出しましたが、愛鷹山(あしたかやま)に遮(さえぎ)られてその東側を回り、箱根火山の西麓(せいろく)との間を南下して先端は三島周辺に到達しました。この溶岩を三島溶岩流といい、富士山頂から30km余に分布しています。三島溶岩流の流下時期は、1万4千年ぐらい前のことと推定されます。それは、長泉町にある鮎壷の滝周辺の溶岩層の下で発見された植物化石を、炭素14法(注)により測定した結果からです。

 この溶岩は、噴出、流下しながら空気中に直接熱を放出したり、気体成分を発泡しながら冷却したので、溶岩をつくるさまざまな鉱物は極めて小さく、岩質は
緻密
(ちみつ)で固い玄武岩(げんぶがん)です。

 三島溶岩の地表面下の様子は、ボーリング調査によって知ることができます。溶岩層の厚さは場所によって違いますが、楽寿館北側地点では、地表面下約5m付近に厚さ約5m、その下約1mの所に厚さ約6m、更にその下約3mの所に、厚さ約11mの層があります。その層の下はローム混じりの
砂礫層
(されきそう)となっていて、最下部は、地表下約30m付近です。

(注) 放射性炭素14を用いた年代測定法。



三島溶岩流による地形や形態(けいたい)

 新富士火山の基底溶岩流である「三島溶岩流」は、パホイホイ溶岩(注)的な特徴がみられ、所により、餅状(もちじょう)溶岩、縄状(なわじょう)溶岩(市立公園楽寿園内)が見られ、国指定の天然記念物及び名勝になっています。その他、溶岩丘(きゅう)(楽寿園常盤(ときわ)の森付近など)、溶岩塚(愛染の滝、職業安定所、三島北高校紫苑(しおん)の森など)、溶岩トンネル(三共株式会社三島工場敷地内地下など)の形成などの特徴があります。

(注) ハワイ島におけるハワイ語に由来し、低粘性の玄武岩質溶岩の1つの形態。表面が滑らかで内部の発泡も均一であり、厚さも数m以下と薄く、数10cm以下のものも決してまれではない。薄く固結化したその表面は、 内部の流動によって“しわ”が形成され、ちょうど縄を何本も並べたようになることがあり、このような表面をもつパホイホイ溶岩を縄状溶岩と呼ぶ。

出典 『箱根山西麓調査報告書』


縄状溶岩 気泡が見える溶岩
縄状溶岩の写真 気泡が見える溶岩の写真



目次へもどる 次ページへ 前ページへ 表紙へもどる