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楽寿園の自然|楽寿園の樹林(森)その2
園内の森の面積は約5haです。各所に建造物や池等があり、森はいくつかに分かれております。これらの森には、特別に「小浜の森」「常盤の森」「さぎの森」「天神の森」「万葉の森」等の呼び名を持つところもありますが、調査の都合で下記のように区分しました。
なお、調査を行なった年は、平成13〜15年です
なお、調査を行なった年は、平成13〜15年です
- (1) 小浜の森(イ)駅前口を入ったところ
- (2) 小浜の森(ロ)駅前口の東側
(平成14年に取得し、再整備したところ面積4,469.98平方メートル) - (3) 常盤の森 楽寿館の西側
- (4) さぎの森 正門から小浜池東側の渕
- (5) 瀬の周辺 三つの瀬(はやの瀬、中の瀬、せりの瀬)の周辺
- (6) 池の周辺 三つの池(あやめヶ池、みどりヶ池、すずめヶ池)の周辺
- (7) 天神の森 西門の北側
- (8) 広場周辺 のりもの広場・どうぶつ広場周辺
- (9) 万葉の森 万葉歌に詠われた植物の植栽地
(4) さぎの森(表4参照)
この森は、園の東側にある正門と小浜池の東側の渕までの区間にあり、溶岩流GL2上に生育している樹木で形づくられています。
この区域には、正門から北寄りに楽寿館前へ通ずる園路と、正門から南寄りに小浜池の東側を経て“小松の堤”に通じる園路があります。
この森で数の多い高木は、ケヤキで50本余で特に南側に大木が多く、ケヤキとともに空間を比較的広くとり、直幹で最優占樹となっています。
この西側の域には、大小のクスノキが、約10本あり樹勢がよいです。これ等ケヤキ、クスノキの樹下は地下水位が高いのですが、中低木がほとんどなく林床には、オカメザサが密生しています。
二つの園路に挟まれた域には、スダジイ(一般にシイ)の大木が10本余生育しており、樹勢は良好なものが多いです。中には樹齢が300年以上の古木があり、幹の樹皮にはいくつかの縦裂が生じ、下部の大枝は枯死し、上部の枝も元気がありません。
また、この域には中層木としてヤブツバキ約50本と多数のアラカシとヤブニッケイの実生樹があり、常緑広葉樹林相をつくっています。
林床への日射量は少ないですが、園路の所々にイロハモミジ、ヒノキ、ムクノキ等の高木の広葉落葉樹もあり、冬期にはこぼれ日が入るので明るいです。
この森で珍しい樹種は正門付近にあるトネリコで数本あります。樹高が20m余あり、幹は直幹で葉はケヤキに似ていますが、葉身の幅が広く落葉樹で、樹勢は良好です。
また、正門の木戸前にあるケヤキは、溶岩の上に座しているように生育しているので、岩上座相樹の代表といえます。園内にはこのような相樹が数多くあります。
この域の北寄りの園路の中程にあるブリスター近くには、カゴノキの岩上座相樹が容姿よく生育しています。
表4 さぎの森
更に、この森の西側の小浜池近くに生育しているアカマツは「いこいの松」ともいわれ、園内一の名木で付近は景勝地となっています。
アカマツの樹形は、単生で直幹、根まわりは約3m、目通り約2m、樹高は約10m弱です。
四方への枝張りは釣り合いがとれ、樹齢約350年です。よく見ると、このアカマツは、溶岩上の表土の少ない所に実生樹としてはえ、根は溶岩の割れ目より地下水等を求めて潜入しています。幹の下部の樹皮はやや厚く、亀甲状に割れています。中・上部の樹皮はアカマツ特有の緋色に近くきれいです。このアカマツは、この森の西側の縁で生育しており、多量の日射量を受けているのでよく成長し、樹姿は落ち着きを与え賞賛に値します。
この区域には、正門から北寄りに楽寿館前へ通ずる園路と、正門から南寄りに小浜池の東側を経て“小松の堤”に通じる園路があります。
この森で数の多い高木は、ケヤキで50本余で特に南側に大木が多く、ケヤキとともに空間を比較的広くとり、直幹で最優占樹となっています。
この西側の域には、大小のクスノキが、約10本あり樹勢がよいです。これ等ケヤキ、クスノキの樹下は地下水位が高いのですが、中低木がほとんどなく林床には、オカメザサが密生しています。
二つの園路に挟まれた域には、スダジイ(一般にシイ)の大木が10本余生育しており、樹勢は良好なものが多いです。中には樹齢が300年以上の古木があり、幹の樹皮にはいくつかの縦裂が生じ、下部の大枝は枯死し、上部の枝も元気がありません。
また、この域には中層木としてヤブツバキ約50本と多数のアラカシとヤブニッケイの実生樹があり、常緑広葉樹林相をつくっています。
林床への日射量は少ないですが、園路の所々にイロハモミジ、ヒノキ、ムクノキ等の高木の広葉落葉樹もあり、冬期にはこぼれ日が入るので明るいです。
この森で珍しい樹種は正門付近にあるトネリコで数本あります。樹高が20m余あり、幹は直幹で葉はケヤキに似ていますが、葉身の幅が広く落葉樹で、樹勢は良好です。
また、正門の木戸前にあるケヤキは、溶岩の上に座しているように生育しているので、岩上座相樹の代表といえます。園内にはこのような相樹が数多くあります。
この域の北寄りの園路の中程にあるブリスター近くには、カゴノキの岩上座相樹が容姿よく生育しています。
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | ケヤキ | 53 | 11 | エノキ | 8 | 16 | ウメ | 3 | 30 | ツルグミ | 1 |
2 | ヤブツバキ | 47 | 12 | コナラ | 6 | 16 | イヌマキ | 3 | 30 | イヌツゲ | 1 |
3 | イロハモミジ | 27 | 13 | クヌギ | 5 | 16 | ヤマザクラ | 3 | 30 | センダン | 1 |
4 | シイ | 14 | 14 | ツツジ | 4 | 24 | キャラボク | 2 | 30 | アオギリ | 1 |
5 | アラカシ | 13 | 14 | ヤブニッケイ | 4 | 24 | イタヤカエデ | 2 | 30 | イヌビワ | 1 |
6 | ムクノキ | 12 | 16 | モチノキ | 3 | 24 | カキ | 2 | 30 | トベラ | 1 |
7 | クスノキ | 11 | 16 | トネリコ | 3 | 24 | ヒサカキ | 2 | 30 | サザンカ | 1 |
8 | アカマツ | 9 | 16 | チャ | 3 | 24 | オオモミジ | 2 | |||
8 | クロマツ | 9 | 16 | ウツギ | 3 | 24 | カゴノキ | 2 | |||
8 | ハゼノキ | 9 | 16 | カナメモチ | 3 | 24 | イヌガヤ | 1 | 計37種 | 275 |
更に、この森の西側の小浜池近くに生育しているアカマツは「いこいの松」ともいわれ、園内一の名木で付近は景勝地となっています。
アカマツの樹形は、単生で直幹、根まわりは約3m、目通り約2m、樹高は約10m弱です。
四方への枝張りは釣り合いがとれ、樹齢約350年です。よく見ると、このアカマツは、溶岩上の表土の少ない所に実生樹としてはえ、根は溶岩の割れ目より地下水等を求めて潜入しています。幹の下部の樹皮はやや厚く、亀甲状に割れています。中・上部の樹皮はアカマツ特有の緋色に近くきれいです。このアカマツは、この森の西側の縁で生育しており、多量の日射量を受けているのでよく成長し、樹姿は落ち着きを与え賞賛に値します。
写真 アカマツ | |
(5) 瀬の周辺(表5参照)
小浜池に湧き水を湛えるためにつくられた石積みを主とする高さ約2m、長さ70m、幅3mの堰堤“小松の堤”と、この下を潜り抜けて南側に流出した水をゆるやかに源兵衛川へと流下させるために工夫された瀬を区分する高さ約1m、幅約3mの2つの畦畔があります。共に回遊する園路を兼ねています。
ここの表土は少ないが、縁に樹木を工夫して植えてあります。
「小松の堤」には、背丈が高くならないクロマツ、アカマツ、ウメ、エノキ、イロハモミジ等が植栽してあります。
「せりの瀬」と「中の瀬」の畦畔にはケヤキ、ハゼノキ、ムクノキ等、「中の瀬」と「はやの瀬」の畦畔にはハゼノキ、イロハモミジ、ムクノキ、シダレヤナギ等があります。
「はやの瀬」と「お茶水」の境は溶岩の露頭が形作っていますが、ヤブツバキ、ケヤキ、ムクノキ等の実生樹が生育しています。
南側の源兵衛川と民地との境界付近には、ケヤキ、クスノキ、エノキ、ムクノキ等が生育していて樹勢もよいです。これ等の樹木は、春から秋までは緑陰をつくり、各々の瀬の水と共に潤いのある風情を与えてくれます。
小浜池の東側に「おきな島」があり、ハゼノキ、ケヤキ等の実生樹のほか藤棚は、趣きを添えています。池の中央近くに溶岩塚である中の島と宮島があります。
宮島には、広瀬神社の祠があり、祭神は倉稲尾魂命
で小浜池の主神です。
ここにはクスノキ、ハゼノキ、モチノキ、イヌマキ等が生育しています。
表5 瀬の池付近
ここの表土は少ないが、縁に樹木を工夫して植えてあります。
「小松の堤」には、背丈が高くならないクロマツ、アカマツ、ウメ、エノキ、イロハモミジ等が植栽してあります。
「せりの瀬」と「中の瀬」の畦畔にはケヤキ、ハゼノキ、ムクノキ等、「中の瀬」と「はやの瀬」の畦畔にはハゼノキ、イロハモミジ、ムクノキ、シダレヤナギ等があります。
「はやの瀬」と「お茶水」の境は溶岩の露頭が形作っていますが、ヤブツバキ、ケヤキ、ムクノキ等の実生樹が生育しています。
南側の源兵衛川と民地との境界付近には、ケヤキ、クスノキ、エノキ、ムクノキ等が生育していて樹勢もよいです。これ等の樹木は、春から秋までは緑陰をつくり、各々の瀬の水と共に潤いのある風情を与えてくれます。
小浜池の東側に「おきな島」があり、ハゼノキ、ケヤキ等の実生樹のほか藤棚は、趣きを添えています。池の中央近くに溶岩塚である中の島と宮島があります。
宮島には、広瀬神社の祠があり、祭神は
ここにはクスノキ、ハゼノキ、モチノキ、イヌマキ等が生育しています。
表5 瀬の池付近
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | エノキ | 14 | 9 | イヌマキ | 4 | 18 | イボタノキ | 1 | 18 | ニセアカシア | 1 |
2 | ムクノキ | 11 | 12 | サクラ | 3 | 18 | ハンノキ | 1 | 18 | ネズミモチ | 1 |
3 | ハゼノキ | 11 | 13 | ヤブツバキ | 2 | 18 | ヤブニッケイ | 1 | 18 | マサキ | 1 |
4 | ケヤキ | 9 | 13 | シュロ | 2 | 18 | シイ | 1 | |||
5 | イロハモミジ | 6 | 13 | ヤマモモ | 2 | 18 | ツツジ | 1 | |||
6 | ウメ | 5 | 13 | アラカシ | 2 | 18 | ザクロ | 1 | |||
6 | クロマツ | 5 | 13 | ヤマフジ | 2 | 18 | ヤマハギ | 1 | |||
6 | モチノキ | 5 | 18 | クヌギ | 1 | 18 | クロガネモチ | 1 | |||
9 | クスノキ | 4 | 18 | オオモミジ | 1 | 18 | トネリコ | 1 | |||
9 | アカマツ | 4 | 18 | シダレヤナギ | 1 | 18 | チャ | 1 | 計 | 33種 | 107 |
(6) あやめヶ池・みどりヶ池・すずめヶ池周辺(表6参照)
慶応年間、千貫樋へ流下させる「宮さんの川」(蓮沼川)の出水口に架けられた、三景橋付近から楽寿園の西側にある郷土資料館地先までの区域です。
森の中には、郷土資料館の西側にある「万葉の森」からの湧水を利用してつくられた三つの池があり、西からすずめヶ池、みどりヶ池、あやめヶ池の順に小さなせせらぎで繋がっており、小浜池に注がれています。これらの池は水がいつもあるので、渡り鳥の休憩地になっています。
三景橋を渡ると、園路の両側にクスノキの大木が数多く見られ、樟脳の微香がすがすがしく私たちを健康にしてくれると思います。
あやめヶ池近辺の樹下には、中低木としてヒサカキ、サンゴジュ、ヤブツバキ等の常緑樹が生育していますが、林床にはほとんど下草はありません。クスノキは、広葉常緑樹で暖帯によく生育します。この域にある大木30本は、いずれも樹勢が良好です。樹高は約25mで空間が高いので、各池は、これ等クスノキの樹下にあることになります。
クスノキの一枚一枚の葉の色が、明るい黄緑色で艶があるため、日射をよく反射して、樹下は比較的明るいです。
あやめヶ池の南側の園路脇には、ヤマザクラの園内随一の大木があります。幹は、根元から北方向に傾いていますが樹勢はよいです。開花期には、多数の花がやさしさを与えてくれます。
みどりヶ池の北側には、楽寿燈籠があります。この近くにケヤキの大木1本とイヌマキの大木1本があります。この付近からは「常盤の森」の南西部を見ることができます。近くにマテバシイやアラカシの岩上座相樹を見ることができます。各池の岸に植栽されたイロハモミジがあります。紅葉は常緑樹の大木の樹下で あるため、やさしさを感じさせてくれます。
マテバシイ種子は、コナラの種子に似て細長いですが、大きいので落下の時期には、楽しい拾い物となり食用にもなります。
表6 あやめヶ池・みどりヶ池・すずめヶ池周辺
森の中には、郷土資料館の西側にある「万葉の森」からの湧水を利用してつくられた三つの池があり、西からすずめヶ池、みどりヶ池、あやめヶ池の順に小さなせせらぎで繋がっており、小浜池に注がれています。これらの池は水がいつもあるので、渡り鳥の休憩地になっています。
三景橋を渡ると、園路の両側にクスノキの大木が数多く見られ、樟脳の微香がすがすがしく私たちを健康にしてくれると思います。
あやめヶ池近辺の樹下には、中低木としてヒサカキ、サンゴジュ、ヤブツバキ等の常緑樹が生育していますが、林床にはほとんど下草はありません。クスノキは、広葉常緑樹で暖帯によく生育します。この域にある大木30本は、いずれも樹勢が良好です。樹高は約25mで空間が高いので、各池は、これ等クスノキの樹下にあることになります。
クスノキの一枚一枚の葉の色が、明るい黄緑色で艶があるため、日射をよく反射して、樹下は比較的明るいです。
あやめヶ池の南側の園路脇には、ヤマザクラの園内随一の大木があります。幹は、根元から北方向に傾いていますが樹勢はよいです。開花期には、多数の花がやさしさを与えてくれます。
みどりヶ池の北側には、楽寿燈籠があります。この近くにケヤキの大木1本とイヌマキの大木1本があります。この付近からは「常盤の森」の南西部を見ることができます。近くにマテバシイやアラカシの岩上座相樹を見ることができます。各池の岸に植栽されたイロハモミジがあります。紅葉は常緑樹の大木の樹下で あるため、やさしさを感じさせてくれます。
マテバシイ種子は、コナラの種子に似て細長いですが、大きいので落下の時期には、楽しい拾い物となり食用にもなります。
写真(みどりヶ池) |
表6 あやめヶ池・みどりヶ池・すずめヶ池周辺
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | クスノキ | 30 | 9 | サザンカ | 3 | 18 | ムクノキ | 1 | |||
2 | イロハモミジ | 14 | 9 | サンゴジュ | 3 | 18 | イタジイ | 1 | |||
3 | アラカシ | 13 | 9 | ヤマザクラ | 3 | 18 | マテバシイ | 1 | |||
4 | ヒノキ | 10 | 9 | ヤブツバキ | 3 | 18 | ヤブニッケイ | 1 | |||
5 | ケヤキ | 8 | 14 | ヤマモモ | 2 | 18 | ソメイヨシノ | 1 | |||
5 | ヒサカキ | 8 | 14 | モチノキ | 2 | 18 | クヌギ | 1 | |||
7 | エノキ | 5 | 14 | トベラ | 2 | 18 | シラカシ | 1 | |||
8 | イヌマキ | 4 | 18 | スギ | 2 | 18 | マユミ | 1 | |||
9 | ハゼノキ | 3 | 18 | シュロ | 1 | 18 | センダン | 1 | 計 | 27種 | 125 |
写真 (あやめヶ池) | 写真 (すずめヶ池) |
この情報に関する問い合わせ先
担当課名 楽寿園
電話番号 055-975-2570