歴史の小箱
(第249号)郷土玩具について和凧・独楽・羽子板・達磨 (平成21年2月1日号)
郷土玩具とは、その土地の材料を用いて作られ、その土地で愛用されてきたものをいいます。今回は、郷土資料館で展示中の郷土玩具について紹介します。
〈和凧〉
凧の起源は諸説ありますが、日本では平安時代の『倭名類聚抄』に紙鳶、紙老鴟と記されているのが古い記録です。江戸時代に入り子どもの正月遊びの玩具として流行し、静岡県内では、浜松・相良・横須賀(掛川)などの遠州地方で、古くから端午の節句を中心に凧揚げ行事が盛んです。東部では、関東の影響か正月ごろに揚げるところが多く見られます。
駿河凧
〈独楽〉
独楽は、木、竹、貝殻、金属、ガラスなどの素材でつくられ、形態や種類が多い玩具です。歴史は古く、もとはドングリなどの木の実から発達したといわれています。
凧と同様江戸時代に庶民に広まり、明治期に入ると鉄胴独楽という勝負独楽が少年の正月遊びとして流行しましたが、その後この種の路上遊戯は交通事情などにより衰退していきました。それでも全国各地に郷土玩具として多くの独楽が作られ、ベイ(貝)ゴマなども根強く伝えられています。
ピエロ独楽
〈羽子板〉
羽子板に使う羽根は、古くは蚊を捕食するトンボに似せて作られたもので、蚊退治、子どもの疫病よけのまじないとして羽根突きをしたという説もあります。羽子板に描かれる主題も、中国から伝来した正月の火祭り「左義長」が描かれた古いものを始め、初日の出や鶴亀、宝尽くし、花鳥、さらには押し絵羽子板など多種多様なも
のが生まれました。また、その土地の特色を生かした郷土羽子板も全国各地に伝えられています。
ラケット型羽子板
〈達磨〉
達磨は信仰に関係する郷土玩具で、新しい一年が開運・招福に恵まれるよう、庶民の願いが込められています。三島にも三島だるまという夫婦そろいの達磨が昭和四十年代の初めまで三嶋大社の東側で作られていました。
三島だるま
【平成21年 広報みしま 2月1日号 掲載記事】
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