(第333号)三島のまつりの今―オテンノウサン―(平成28年2月1日号)

愛知県の津島神社や、祇園祭で有名な京都の八坂神社に祀られる牛頭天王は疫病を防ぐ神として全国各地で信仰され、天王信仰・祇園信仰などと呼ばれています。
  中郷地域の大場、梅名、安久、中島と函南町間宮の五地区では七月初めの土曜日にオテンノウサン(お天王さん)のまつりが行われています。特徴はその神輿で、派手な飾りはなく、小さな祠が網目状の縄で固定されている独特の形態をしています。また、縄の太さや祠の固定の仕方に地区ごとの特徴があります。(写真①、②、③)  

安久の神輿

大場の神輿

中島の神輿
写真3 中島の神輿

まつりの日の午後、梅名と中島では子ども神輿が地区をまわります。まつりの本番は夕方から夜にかけてです。半裸の男性が神輿を担いで地区内を回り、沿道から激しく水を掛けられるという荒々しいものです。  

しかし、昔はもっと荒々しかったようです。田畑や民家、商店になだれ込む、隣り村の神輿とケンカになる、巡回の最後に神輿を川に投げ入れて自分たちも飛び込む、など力の入ったまつりでした。  

安久では特に激しくなりすぎたため明治初めころ、中止にさせられました。その後、昭和五十七年(一九八二)有志の保存会により復活することができました。  
現在ではケンカもなくなり、川に神輿を投げ入れているのも間宮だけとなっています。大場と間宮では数年前に偶然、神輿が出会いました。これをきっかけとして、それからは毎年、場所と時間を合わせて合流し、大声を上げて激しく神輿担ぎを競い合っていますが、これがケンカになるようなことはないようです。(写真④)  
大場・間宮のオテンノウサンの様子

以前は青年団がまつりを担っていましたが、地区の青年団がなくなって久しい現在では有志による保存会、町内会、町内会の中の当番組など担い手も地区によってさまざまです。また、地区ごとの独自の神輿のつくり方を伝承していくために大場の「縄からげ保存会」、中島の「伝統芸能保存会」といった独自の会が作られている地区もあります。

【広報みしま 平成28年2月1日号掲載記事】