三島の歌碑・句碑3 水底(みなぞこ)に しづく圓葉(まろば)の 青き藻を 差し射る光の さやかに照らす  ―窪田空穂―  (平成21年3月1日号)

 この歌は、明治から昭和にかけ活躍した歌人・窪田空穂(くぼたうつぼ・1877~1967)が、三島を訪れた際「三島市・樂壽園」(歌集『卓上の灯』所収)と題し詠んだ九首の一首です。

 「しづく」は沈むという意味で、小浜池の水底に沈んだ圓葉(丸葉)に付着した青藻が、日の光によって明るく照らし出されている情景を詠んでおり、水底を照らす一筋の光と藻の青が絵画のごとく色鮮やかに表現されています。

 このほかにも「富士が根につもるしら雪忍水(おしみず)となりて涌き來(く)るこの大き池」「池尻を流れいづる水廣瀨なし底の靑藻(あおも)を搖(ゆ)りきらめかす」など、富士の湧水を満々と湛(たた)えた小浜池の情景を、見事に描いた歌の数々がこの歌集には収められています。

空穂歌碑(桜川・水辺の文学碑)
▲空穂歌碑(桜川・水辺の文学碑)

【広報みしま 平成21年3月1日号掲載記事】