(第149号) ~魔よけの模様~ 「麻の葉模様」 (平成12年10月1日号)

麻の葉模様
 かつては、生まれてきた赤ん坊の産着にはていねいに麻の葉模様が縫い取られていました。

 今でも赤ちゃんに着せる肌着には麻の葉模様がプリントされています。

 また女性の着物の下着である肌襦袢【はだじゅばん】や腰巻にもしばしば麻の葉模様が使用されています。

 この麻の葉模様は、3ヶ月で2メートル以上伸びる麻にあやかり、まっすぐ大きく成長するように、素直な心の持ち主になるようにと願う親の気持ちが込められています。また、麻の葉模様は魔よけの模様とも考えられています。

 麻は縄文時代から日本人に利用されていました。丈夫なため、縄に使用され衣料の材料でした。

 特に大麻【たいま】は神社の神事に欠かすことのできない材料です。古来から麻は神聖なものとして扱われ、麻に神仏が降りたとされています。御幣【ごへい】、鈴縄、狩衣、巫女【みこ】の髪紐には大麻が使用され、昔は伊勢神宮の大麻(御札)もまた麻の紙だったといわれます。

 雷が鳴ると、「蚊帳【かや】の中に入りなさい。」といわれたものですが、蚊帳は麻で出来ていて、麻は電磁波・紫外線・放射線を中和する効果があることが判ってきました。

 麻を研究している伊豆大島の中山康直さんに麻の効用を伺う中で、広島の原爆の時に、麻の服を着ていたためか被爆しなかった方が数人いるとのこと。また、大麻はマリファナの原料になるため、昭和23年(1948)から免許がなければ栽培が出来ず、栽培者が少ないこと。けれども近年、欧米の研究では、ガン、エイズ、白内障、リウマチなどの治療に、大麻が優れた効果を発揮することが認められ、欧米では規制の緩和が進んでいることを知りました。

 また、麻を3年植えると、土の中の農薬やダイオキシンを分解する作用が働き、土地が改良されるともいいます。

 先人達は麻の効用を、現代の科学以上によく理解していたのでしょう。
(広報みしま 平成12年10月1日号掲載記事)