「市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事変更契約書(図面も含む)写し及び工事に伴うJR東海との協議経過文書」の開示決定に対する異議申立てについて[諮問第5号]

平成21年7月17日 三情審第4号

審査会の結論

  本件異議申立てに係る下記の(1)ないし(3)の不開示情報のうち、(2)及び(3)のイの情報は開示することが妥当である。(1)並びに(3)のア及びウの各情報を不開示としたことは妥当である。
              記
(1)  工事費内訳書部分の新旧対照表
(2)  変更理由を記した文書
(3)  工事に伴うJR東海との協議経過文書
ア. 「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状と共に送付された文書(本文)
イ. メールによりJR東海宛に送付した文書(メール文書本文、添付の現場写真5葉、「近接工事施工協議」と題する文書案及び第1工区に係る平面図)
ウ. ア・イ以外の協議経過文書


異議申立て及び審査の経緯

(1)  本件の異議申立人〇〇〇〇さん(以下「申立人」という。)は、平成20年12月1日、三島市情報公開条例(以下「条例」という。)第5条に基づき、実施機関である三島市長(以下「実施機関」ともいう。)に対して、「市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事変更契約書(図面も含む)写し、上記の検査に関する文書及び工事に伴うJR東海との協議経過文書」の開示を請求した。実施機関は、この開示請求の対象公文書として、ア「建設工事変更請負契約書」及び添付書類(変更第1回設計書、平面図、構造図)、イ「完成検査結果通知書」、ウ「工事成績評定通知書」、エ「ファクシミリ送付のご案内」が該当するとして、これらの文書のうち、条例第8条第1号に規定する個人情報(検査立会者の氏名等)及び同条第3号に規定する事業情報(請負業者の社印影等)を除いた部分を開示する決定(以下「本件処分」という。)を、同月3日付けで行なった。
 これに対し申立人は、平成21年1月9日、本件処分について、ア「工事費内訳書部分の新旧対照表」、イ「変更理由を記した文書」、ウ「工事に伴うJR東海との協議経過文書」である「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状と共に送付された文書(本文)が開示されていないとして、本件処分の取消しを求めて、異議申立てを行ない、本件は、同年2月12日付けで三島市長より条例第18条に基づき当審査会に諮問されるところとなった[当審査会諮問第5号]。
(2)  当審査会の審査においては、実施機関側が平成21年2月17日に理由説明書を提出し、これに対し申立人は同月25日に意見書を提出した。そして、同月27日には、申立人による口頭意見陳述及び実施機関に対する意見聴取が行なわれ、同年4月14日には、実施機関に対する再度の意見聴取が行なわれた。
 なお、申立人は、口頭意見陳述の際に、上記(1)のウの「工事に伴うJR東海との協議経過文書」である「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状と共に送付された文書(本文)以外にも、メールにより送付した文書とそれら以外のJR東海との協議経過文書も存在するにもかかわらず開示されていないと述べた。

審査会の判断

  申立人と実施機関との間における本件の主要争点に関し、当審査会は以下のとおり判断する。
(1)  申立人の本件異議申立てに係る不開示情報について
 上記2の異議申立て及び審査の経緯から明らかなとおり、申立人が本件異議申立てにおいて、本件処分で不開示情報とされたとしてこれに係る本件処分の取消しを求めた文書は、次のアないしウの各文書である。そこで、以下、順次検討していくこととする。
ア.  工事費内訳書部分の新旧対照表
イ.  変更理由を記した文書
ウ.  工事に伴うJR東海との協議経過文書
a. 「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状と共に送付された文書(本文)
b. メールにより送付した文書
c. a・b以外の協議経過文書
(2)  「工事費内訳書部分の新旧対照表」の不開示該当性について
 本件審査の結果によれば、従前、建設工事変更請負契約の際に、「工事費内訳書部分の新旧対照表」が作成・添付されていたが、平成16年から運用されている現行の工事積算システムにおいては、新旧対照表は作成・添付しない取扱いとなって現在に至っていること、そのため、本件建設工事変更請負契約に当たっても「工事費内訳書部分の新旧対照表」は作成されなかったことが認められる(ちなみに、申立人も、口頭意見陳述において、新旧対照表は現行の工事積算システムでは作成・添付しない取扱いに変わっていることについて自認している。)。したがって、申立人において不開示情報と主張する上記の「工事費内訳書部分の新旧対照表」は元々作成されておらずそれが存在していないことは明らかであって、実施機関においてこれを不開示としたのは妥当であると判断する。
(3)  「変更理由を記した文書」の不開示該当性について
 本件審査の結果によれば、「変更理由を記した文書」は、建設工事の変更につきその理由を記載した文書で、建設工事変更請負契約書の作成の際に作成されたものであり、それが作成された際には、通常、建設工事変更請負契約書と一連の文書としてこれに添付する形で綴るという取扱いがされていること、本件建設工事変更請負契約の際にも、建設工事変更請負契約書だけでなく、「変更理由を記した文書」もワープロ入力により作成されたこと、ところが、その後、作成されたその「変更理由を記した文書」が、いかなる経緯によるのかはともかく、申立人による本件開示請求の際に開示されなかったこと(開示されなかった具体的経緯については、申立人と実施機関側とで主張に食い違いがあるが、いずれにしても、それが本件開示請求の際に開示されなかったという事実自体は明らかで当事者間に争いもないのであるから、上記の具体的経緯の如何について、これ以上当審査会の判断すべきところではない。)、以上の事実が認められる。そうである以上、上記の「変更理由を記した文書」が作成されて存在していることが明らかであって、しかも、これを不開示とする格別の理由は認められない。したがって、これを開示するべきものと判断する。
(4)  「工事に伴うJR東海との協議経過文書」の不開示該当性について
 申立人が不開示情報として挙げる「工事に伴うJR東海との協議経過文書」は、a「『ファクシミリ送付のご案内』と題する送付状と共に送付された文書(本文)」、b「メールにより送付した文書」及びc「上記ab以外の協議経過文書」から成るので、順次検討する。
ア.  「『ファクシミリ送付のご案内』と題する送付状と共に送付された文書(本文)」について
 本件審査の結果によれば、本件の市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事を施工するに当たり、当該工事の場所及び施工方法の関係でJR東海との協議を行う必要があったこと、そこで、実施機関側(三島市土木課担当者)がJR東海担当者に対し電話連絡をしたところ、JR東海担当者からファクシミリにてメールアドレスを送るので、同メールアドレス宛に当該工事に係る資料を添付ファイルで送信してくれるよう要請されたこと、その後、JR東海担当者から、実施機関側(三島市土木課担当者)宛に、ファクシミリにて2008年5月20日付けの「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状が送付されてきたこと、同送付状の「連絡事項」の欄には、「お世話になります。メールアドレスを送付します。」という文言とともに、JR東海担当者のメールアドレスが記載されていたこと、他方、同送付状の「送信枚数」の欄には、「送信枚数(送付状を含まない)【枚数】1枚」との記載がされていたこと、同送付状を受け取った実施機関側(三島市土木課担当者)は、同送付状に記されていたJR東海担当者のメールアドレス宛に、本件の市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事に係る資料(現場の写真5葉、「近接工事施工協議」と題する文書案及び第1工区に係る平面図)を添付ファイルとして付けた上で、メールにて送信したこと、その後、同メールを受信し、添付ファイルの内容を確認したJR東海担当者と電話でやり取りをしたところ、JR東海側としては、線路敷地内で建設機械を使用する内容の本件工事は鉄道運行の安全面から許可できないとの申入れがあり、それ以上の協議に進むことはできなかったこと、そこで、実施機関側としては、JR東海との協議等を行う必要のない方向において本件工事の変更を行うことを余儀なくされるに至ったこと、以上の事実が認められる。
 上記の「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状がJR東海担当者から実施機関側(三島市土木課担当者)宛に送付された経緯と同送付状の「連絡事項」欄の記載内容及び同送付状の送信がされた前後の事情等の事実関係に照らせば、JR東海担当者から実施機関側(三島市土木課担当者)宛に送付されたのは、「ファクシミリ送付のご案内」と題する送付状(ファクシミリ文書)の1枚のみであり、同送付状の「送信枚数」の欄の記載は誤記であって、同送付状と共に送付された文書は存在しなかったものと認められる(ちなみに、申立人も、口頭意見陳述の際に、「もしかすると市が主張するようにそれ(送付状)1枚だったかもしれません」と述べている。)。したがって、申立人において不開示情報と主張する上記の「『ファクシミリ送付のご案内』と題する送付状と共に送付された文書(本文)」について、実施機関においてこれを不開示としたのは妥当であると判断する。
イ.  メールにより送付した文書
 上記アのとおり、JR東海担当者からメールアドレスを記した送付状(ファクシミリ文書)を受け取った実施機関側(三島市土木課担当者)は、同送付状に記されていたJR東海担当者のメールアドレス宛に、本件の市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事に係る資料として、現場の写真5葉、「近接工事施工協議」と題する文書案及び第1工区に係る平面図を添付ファイルとして付けた上で、メールにて送信をしたこと、その後、同メールを受信し、添付ファイルの内容を確認したJR東海担当者と電話でやり取りをしたところ、JR東海側としては、線路敷地内で建設機械を使用する内容の本件工事は鉄道運行の安全面から許可できないとの申入れがあり、それ以上の協議に進むことはできなかったこと、そこで、実施機関側としては、JR東海との協議等を行う必要のない方向において本件工事の変更を行うことを余儀なくされるに至ったこと、以上の事実が認められる。
 上記の事実関係に照らせば、実施機関側がJR東海宛に送付したメール文書として、当該メール文書本文とその添付ファイルとしての現場の写真5葉、「近接工事施工協議」と題する文書案及び第1工区に係る平面図が存在することが明らかである。そして、上記のメール文書の送付は、上記アで認定したところの、実施機関側がJR東海と本件の市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事につき協議に入るための事前準備として行われたものであるから、これらのメール文書は、申立人がその開示を求めている「工事に伴うJR東海との協議経過文書」に当たるものとみるのが相当である。
 この点について、実施機関側は、上記のメール文書はJR東海との協議に入る前の事前連絡段階における資料にすぎないから、「JR東海との協議経過文書」には当たらない旨主張している。しかしながら、ここでいう「工事に伴うJR東海との協議経過文書」を、本件審査の結果から窺われる申立人の本件開示請求の目的・趣旨に即して理解するならば、それは、本件の市道大宮町3丁目2号線外側溝改良工事についてのJR東海との間での事前連絡から協議までの一連の過程においてやり取りされた文書の全部を指すものとみるのが相当であり、そうであればこそ、実施機関側も、JR東海からメールアドレスを知らせてきただけの送付状(ファクシミリ文書。これも事前連絡のための文書のはずである。)をこれに当たる文書として開示していることの説明が付くものといわなければならない。
 したがって、上記のメール文書については、これを開示するべきものと判断する(これを不開示とする格別の理由は認められない。)。
ウ.  ア・イ以外の協議経過文書
 本件審査の結果によれば、上記イのメール文書以外に実施機関側がJR東海とやり取りした文書があるとは認められない。上記アで認定したように、JR東海との協議に入る前の事前連絡として、実施機関側においてJR東海宛にメール文書を送付したところ、その後の電話でのやり取りにおいて、JR東海側としては、線路敷地内で建設機械を使用する内容の本件工事は鉄道運行の安全面から許可できないとの申入れがあり、それ以上の協議に進むことはできなかったというのであり、このような事情からしても、上記イのメール文書以外に実施機関側がJR東海とやり取りした文書は存在しないことが窺われるところである。したがって、申立人において不開示情報と主張する上記の文書について、実施機関がこれを不開示としたのは妥当であると判断する。
(5)  以上により、当審査会は、本件処分につき、「1 審査会の結論」のように判断する。

審査会の処理経過

平成21年2月12日 審査諮問書の受理
    同年2月17日 実施機関からの理由説明書の受理
    同年2月25日 異議申立人からの意見書の受理
    同年2月27日 諮問の審査、異議申立人による口頭意見陳述及び実施機関に対する意見聴取
                                     (平成20年度第1回審査会)
    同年4月14日 諮問の審査及び実施機関に対する意見聴取(平成21年度第1回審査会)
    同年5月19日 諮問の審査(平成21年度第2回審査会)
    同年6月25日 諮問の審査及び答申書の確定(平成21年度第3回審査会)

三島市情報公開審査会

  • 立石 健二(職務代理者)
  • 大村 知子(委員)