(第315号)日英で活躍した洋画家 栗原忠二 (平成26年8月1日号)

 七月十九日(土)より開催の企画展「郷土資料館収蔵美術品展」で展示予定の作品の中から、今回は三島生まれの洋画家、栗原忠二をご紹介します。  

 栗原忠二は、大正から昭和初期にかけて活躍した洋画家です。明治十九年(一八八六)、久保町(現在の三島市中央町)の代々続く造り酒屋に生まれ、県立韮山中学校(現在の県立韮山高等学校)に進学します。中学時代には、澤田政廣や細井繁誠、和田金剛など多くの芸術家を指導した彦坂繁三郎のもとで水彩画を描き、東京美術学校(現在の東京芸術大学)西洋画科へ進学します。  

 学生時代からイギリスの風景画家タ―ナ―に強い影響を受け、「栗原ターナ―」とあだ名がつくほどだった彼は、美術学校卒業後、イギリスへ渡ります。イギリス画壇で認められ、外国人で初めて英国王立美術家協会の準会員となりました。ロンドンにアトリエを構えてヨーロッパ各地を旅しながら風景画を描き、大正十一年(一九 二二)には東京の日本橋三越で個展が開かれるなど日英両国で名声を得ました。  

 長年英国を拠点に創作を続けた栗原ですが、大正十三年(一九二四)に帰国します。翌年、再び渡英するも一年で帰国し、東京にアトリエを構え創作活動を続けました。第一美術協会や築地洋画研究所を設立して後進の育成にも励むなか、昭和十一年(一九三六)に五十歳で亡くなっています。  

 今回展示予定の「月島の月」は栗原が東京美術学校在学中の明治四十二年(一九〇九)に白馬会展に出品したものです。新聞紙上などで好評を得て、彼の出世作となりました。この作品は彼の母校である現在の三島市立南小学校に贈られ、長年同校の宝として飾られていました(現在は郷土資料館蔵)

月島の月
月島の月

 もう一点は屏風で、洋画家の彼には珍しい日本画です。もともとは画帳であったものを屏風に仕立てたもので、小動物や山村の風景など身近な情景を描いています。  

貼り交ぜ屏風
貼り交ぜ屏風

 今回の収蔵美術品展を通じて、三島ゆかりの優れた芸術家や作品に親しんでいただければ幸いです。
【広報みしま 平成26年8月1日号掲載記事】