三島の歌碑・句碑12 けふ彼岸 菩提の種を 蒔く日かな ―芭蕉―   (平成21年12月1日号)

 三島大社の東側にある薬師院〈(やくしいん)大社町〉の本堂脇(わき)に建つ芭蕉(ばしょう)の句碑(くひ)は、前住職の故杉浦秀光師によって昭和51年に建立(こんりゅう)されました。

 この句は、最初の芭蕉句集『俳諧一葉集(はいかいいちようしゅう)』(文政10年・1827刊)の「寛文延宝天和年中(かんぶんえんぽうてんなねんじゅう)」の部に見えますが、芭蕉の自作かどうかは議論のある句です。近代俳諧の高浜虚子(たかはまきょし・1874―1959) は、俳誌『ホトトギス』(昭和5年3月)で、芭蕉の句を3種類に分け評釈(ひょうしゃく)した、最初の10句の中にこの句を含めており、少なくとも虚子は芭蕉の句として認識していたようです。

 菩提(ぼだい)とは仏心のことで、悟(さと)りの世界を意味し、彼岸には仏様の教えに目覚め精進することを、ご先祖さまの墓前で誓うことが本来の目的といわれています。

芭蕉句碑(薬師院本堂脇)
▲芭蕉句碑(薬師院本堂脇)

【広報みしま 平成21年12月1日号掲載記事】