ふるさとの人物から2  白隠(はくいん)禅師 〈沢地・龍沢寺(りゅうたくじ)〉  (平成16年5月1日号)

 江戸時代、禅宗中興の祖として知られる白隠禅師(1685~1768)は、原の松蔭寺(沼津市)に住み一方で全国を行脚(あんぎゃ)、弟子を養成しました。三島にも大きな影響を与え、弟子東嶺(とうれい)禅師と共に沢地に禅の修業道場、龍沢寺を開いています(1758)。この寺からは遂翁(すいおう)、星定(せいじょう)、玄峰(げんぽう)、宋淵(そうえん)老師などその時代を代表する名僧を輩出しています。

 さらに、伊豆・駿河の豪農層を訪ね教化していきました。三島に残る記録では龍沢寺、福聚(ふくじゅ)院(田町)、持珠(じじゅ)院〈安久(やすひさ)〉などにたびたび足を運び法会(ほうえ)を催し、農民たちに説教し、多くの書を残しています。特に、安久の秋山家とは、道号を与えるなどの親交を結びました。

 幕藩体制の矛盾がさまざまに噴出した江戸時代中期、地域の豪農層を教化し指導していたのが白隠禅師だったのです。

【広報みしま 平成16年5月1日号掲載記事】