(第351号)三島を描いた風景画 下田舜堂の作品(平成29年8月1日号)

 今回は、三島出身の日本画家・下田舜堂を紹介します。

 舜堂は明治三十二年(一八九九年)、現在の三島市芝本町で生まれました。大正十五年(一九二六年)、東京上野美術学校(現:東京藝術大学)の日本画科を卒業し、その際は成績優秀により卒業制作の作品が学校に買い上げられました。卒業後、昭和三年(一九二八年)には帝国美術院展覧会に入選するなどさらに活躍の場を広げました。 大妻女子専門学校(現:大妻女子大学)や沼津精華高校(現:沼津中央高校)で教鞭を執っていたほか、三島文化協会会長、佐野美術館初代館長、三島市民文化会議議長など地域の美術・文化の振興に尽力しました。    

 舜堂の作品は古典をふまえた誠実な作風で、画面には清楚、清澄が感じられると評され、「朝焼けの富士」「小浜池」の二点が市の文化財に指定されています。
 

 昭和三十一年(一九五六年)制作の「朝焼けの富士」は、旧東海道の箱根入口付近の写生をもとにした作品で、画面中央付近にたなびくかすみを配し、富士山までの距離感を表現して奥行きを出しています。しっとり と落ち着いた色彩には、誠実、温雅な作風がよく表れていると評されています。

 また、当時の民家や松並木の様子が描かれており、郷土史的観点からも興味深いものです。


   昭和三十五年(一九六〇年)に制作された「小浜池」は、楽寿園内の小浜池が満々と水をたたえていた当時の様子を描いたものです。優雅な色彩や構図の巧妙さ、確かなデッサン力が作品に緊張感を与え、風格ある作品に仕上がっていると評されています。やわらかな日差しのような明るい画面からは、園内のそよ風まで感じられるようです。


 この二作品は、普段は市役所内の一角に飾られていて、市民の皆さんが見る機会は限られています。


 現在、郷土資料館で開催している「三島のたからもの―市の指定文化財を大公開!―」では、市内の重要な文化財を紹介しており、八月八日㈫からは美術編として、絵画や工芸の優れた作品を展示します。この企画展には、今回紹介した二作品も展示しますので、この機会にぜひさまざまな作品を堪能してください。

朝焼けの富士
▲「朝焼けの富士」


小浜池
▲楽寿園内を描いた「小浜池」


【広報みしま 平成29年8月1日号掲載記事】