三島駅南口東街区再開発事業 再開発ノート【第11~20回】(広報みしま連載記事)

三島駅南口東街区再開発事業への理解を深めていただくため、広報みしまでは「再開発ノート」と題して、事業の進捗や要点などについてシリーズでお届けしています。
 ここでは、広報みしまの連載記事をまとめて掲載します。ぜひご覧ください。

〔第20回〕 都市計画の決定・変更に向けて④ 第一種市街地再開発事業の決定

 都市計画における市街地再開発事業の決定とは、施行区域を明瞭にするとともに、事業実施後の市街地の姿を定めることで、事業の意義と基本的な内容を示すものです。
 今回の決定では、下図で示したA地区において、事業の名称や施行区域、建築物の主な用途や延べ面積に加え、建築敷地の整備に関する計画などを定めます。
 このことにより、快適な歩行者空間や、駅周辺にふさわしい魅力的な都市空間を形成していくこととなります。
 建築物における具体的な導入機能については、市民の皆さんのご意見を踏まえ、三島駅前ににぎわいを生む施設となるよう、引き続き検討を進めていきます。
200501区域図

※広報みしま2020年6月1日号に掲載

〔第19回〕 都市計画の決定・変更に向けて③ 高度利用地区の決定

 高度利用地区とは、主要鉄道駅の周辺などの重要な商業や業務用地を含む区域において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、都市計画法に基づき、建築物の容積率や建ぺい率、建築面積の限度及び壁面の位置の制限を定める制度で、市街地再開発事業を実施する際の要件の一つとなっています。
 東街区では、下図の区域を高度利用地区に定め、容積率の最高限度は指定容積率のとおり400%、最低限度は200%としています。また、建ぺい率の最高限度は指定建ぺい率のとおり80%、建築面積の最低限度は200平方メートルとし、壁面の位置の制限は道路境界線から2メートル以上としています。
 このことにより、細分化された敷地の統合を促し、小規模な建築物を抑えることで、地域の核となるような複合的な施設を建築できるようになります。また、敷地内に有効な空地を確保できるようにすることで、市街地の環境の向上が図られます。
200501区域図

※広報みしま2020年5月1日号に掲載

〔第18回〕 都市計画の決定・変更に向けて② 用途地域の変更

 用途地域とは、良好な市街地の形成を図るため、土地の利用目的に応じて区分し、地域の特性に合わせて建築物の用途の制限などのきまりを定めたものです。例えば、商業地域は、駅周辺などの都市の中心部で商業や業務などの施設の集中立地を図る地域で、近隣商業地域は、近隣住民が日用品の買物をする店舗などの立地を図る地域です。現況をみると、三島駅南口から大通り周辺までの幹線道路沿いに主として商業地域が、その周囲に近隣商業地域が指定されています。東街区では、敷地の南側が商業地域、北側が近隣商業地域となっています。
 今回の用途地域の変更は、再開発事業の具体化に伴い、東街区内の近隣商業地域のうち、市街地再開発事業に供する東側約0.7ヘクタールについて、商業地域(容積率の最高限度400%)に変更しようとするものです。このことにより土地の高度利用が図られ、店舗や事務所、住宅などが集まったにぎわいの拠点となる施設の建築が可能となります。
200401区域図

※広報みしま2020年4月1日号に掲載

〔第17回〕 都市計画の決定・変更に向けて①

 市では、三島駅南口東街区の整備に伴い、土地の使い方や建物の建て方など、まちづくりのルールとなる4つの都市計画を定める予定です。➊地域に応じた建築物の用途や形態を制限する「用途地域」の変更、➋土地の合理的・健全な高度利用と都市機能の更新を図る「高度利用地区」の決定、➌敷地の共同利用・高度利用により建築物の不燃化・共同化や安全で快適な空地を確保する立体的整備手法の「第一種市街地再開発事業」の決定、➍地区に応じたきめ細かいまちづくりの決まりを定める「地区計画」の変更です。
 東街区は、市の基本構想を定めた総合計画、まちづくりの方針を示した都市計画マスタープランや三島駅周辺グランドデザインにおいて、再開発により広域健康医療拠点の整備を行い、市街地の活性化とにぎわいの創出を図ることが謳(うた)われています。これらに基づき、市は準備組合と協力して施設計画などの検討を進めてきました。都市計画の決定・変更により、この地区に一定の規制を課すとともに、市街地整備に重要な役割をも つ公共性の高い事業として推進を図っていきます。
 都市計画の決定・変更については2月28日と3月4日の説明会(注:新型コロナウイルスの感染拡大防止のため延期となりました)でお知らせするほか、公聴会の開催や都市計画の案の縦覧などにより、皆さんにご意見を伺いながら手続きを進めていきます。詳細は、次号以降でお知らせします。

※広報みしま2020年3月1日号に掲載

〔第16回〕 都市計画案の作成に向けて⑭ 想定する事業費と市の負担額

 市は、土地開発公社が東街区に所有し、駐車場として暫定利用している約1㏊の土地を約24億円で取得し、拠点整備に供する計画です。
 拠点整備には定期借地事業と市街地再開発事業の二つの手法を用い、現行の施設計画案による推計事業費は合計で約211億円の見込みです。
 定期借地事業は、事業者が将来の市有地のうち約0.3㏊を30年の期限で借り受け、商業施設を建てます。その工事費などが約10億円の見込みですが、これに対する市の負担は予定していません。
 市街地再開発事業は、再開発組合(現準備組合)が将来の市有地のうち約0.7㏊と民有地約0.4㏊の土地や建物を共同化して、空地を生み出し、広域健康医療拠点として都市機能の更新や防災面の整備を行います。調査設計計画費、土地整備費、工事費など、事業費約201億円を見込んでいます。市は国の交付金制度などにのっとり、施行する組合に対し、その事業費の一部について約25億円を補助する見込みです。併せて、現状と同規模の駐車台数(約370台)を確保するため、約0.7㏊の市有地を立体駐車場に等価で置き換えるとともに、足りない駐車台数分を買い増しする費用約7億円を見込んでいます。
 再開発による市の負担額は約56億円ですが、税収増や駐車場収益などにより17年程度で回収できる試算です。今後も公金投入に見合う事業とすべく取り組んでいきます。

※広報みしま2020年1月1日号に掲載

〔第15回〕 都市計画案の作成に向けて⑬ 車や歩行者の交通

 現況の交通量に施設計画案から見込まれる交通量を加えた将来の交通量と、東街区周辺の交差点において処理できる交通量との割合を解析しました。その結果、再開発によって周辺の交差点が飽和状態となる可能性は極めて低いことが分かりました。
 現況では、一部の交差点で平日の朝や夕方などに渋滞が見受けられますので、今後さらなる調査や検討を行う考えです。現在、令和2年夏の完了を目標に三島簡易裁判所前の交差点の改良工事中です。供用開始となると、三島駅周辺の渋滞緩和も期待されます。引き続き、周辺の交通状況を把握しながら、車の交通に支障のない計画としていきます。 
 歩行者の動線について、施設計画案では、東街区の中央部の空地に、駅前広場と東街区の東側や南東側を通る道路とをつなぐ歩行者デッキを整備する考えです。車の動線と分離され、水と緑が調和した安心で快適な歩行者空間となるよう計画しています。また、東街区の周囲については、歩道から2m程度下がって建物を配置するとともに、再開発と併せて電線類の地中化を実施する予定です。このことにより、ゆとりある歩行者空間が生み出され、景観や見通しの改善も図られます。
 駅と中心市街地をつなぐ、歩いて楽しいまちづくりに引き続き取り組んでいきます。

※広報みしま2019年12月1日号に掲載

〔第14回〕 都市計画案の作成に向けて⑫ 導入機能・建物配置 

 昨年開催した市民説明会で、駅前にあると便利なもの、望ましいものについて伺ったところ、とても多くの提案・要望をいただきました。
 ご意見を踏まえ、導入する主な機能として、商業施設(約5,000平方メートル)をはじめ、医療・健康づくり・子育て支援施設などの公益的施設、住宅(約300戸)、駐車場(市営約370台)を想定し、検討を進めています。商業施設や公益的施設を駅前広場に隣接するエリアや建物の低層部に配置して利便性を高めるとともに、タワー棟や立体駐車場は再開発エリアの北側敷地に配置することで駅前広場や南側の道路から見た圧迫感の軽減に努めています。また、現行案における再開発エリア内で地盤が最も低い所からタワー棟のてっぺんまでの高さは約90.6mとなります。
 今後も、皆さんの意見を踏まえ、施設計画案の検討を進めていきます。

東街区南側から見た建物模式図

※広報みしま2019年11月1日号に掲載

〔第13回〕 都市計画案の作成に向けて⑪ 地下水配慮対策

 昨年8月に東街区再開発事業に関する事業協力協定を締結して以降、市では市民説明会を開催し、皆さんから寄せられた意見を踏まえ、準備組合と連携・協力して施設計画案の検討を進めています。
 一例として、地下水・湧水への影響を心配する声が多く寄せられたことを受け、これまでの地下水配慮対策をより盤石なものとするため、地盤構成や溶岩層の厚さ、地震動の想定に必要となる情報、地下水位などを把握する目的で、今春、事業区域内の2カ所において、準備組合により地盤調査が行われました。
 この調査結果や現状の施設計画案における地下水配慮対策について、9月2日開催の第5回三島駅周辺開発地下水対策検討委員会において確認していただきました。今回の地盤調査では、これまでの調査結果から想定していたとおり、埋土層の下に10m程度の溶岩層が分布していることが分かり、地盤構成データの精度が高まりました。施設計画案では、事業区域内の溶岩が厚いエリアに高層棟の配置が予定されるとともに、杭を設けない基礎構造を採用することで、地下水との距離を十分に確保しています。また、万が一、地下水位が上昇しても地下水の流れを止めないための通水口の設置など、地下水配慮対策がなされていることが確認されました。
 今後も事業の進捗に応じて、地下水配慮対策について委員会に確認を行っていきます。

※広報みしま2019年10月1日号に掲載

〔第12回〕 都市計画案の作成に向けて⑩ 今年度の予定

 昭和44年(1969年)4月に新幹線三島駅が開業して、今年で50年を迎えます。バブル崩壊や東日本大震災など人々の価値観を変える大きな出来事をいくつも経験した「平成」を経て、新たな「令和」の時代が始まります。これからの50年、そしてその先も、元気な市民、元気なまち、産業をつくり、地域経済を活性化させ、市民サービスを維持する必要があります。このため、広域交通の結節点の強みを生かし、東街区から三島駅前広場や西街区、楽寿園、市街地へと続く魅力的な街のフロントエリアを作り、にぎわい創出を図っていきます。
 市では、昨年度の市民説明会で寄せられた意見を踏まえ、今年度も引き続き、準備組合と連携・協力して2020年度の都市計画決定を目標に、下図のとおり事業を進めていきます。市民の皆さんには、基本計画案が整い次第、その内容などに関する説明会を開催する予定です。

(図:都市計画決定までの流れ)
今後の予定

※広報みしま2019年4月15日号に掲載

〔第11回〕 都市計画案の作成に向けて⑨ 三島駅南口周辺開発地下水対策検討委員会

 春、富士山の雪解けが始まると、地表から地下に浸透する水量が増え、夏にかけて降雨量の増加もあり、地下水位は上昇します。三島駅付近では、地下水は地表からおおよそ10mの深さに面的に広がり、三島溶岩の中を北から南へ流れていることが、これまでの調査で分かっています。
 市では、三島駅前の再開発と市の宝である地下水の保全を両立するため、駅の北側と南側で継続して地下水の水位や水質を調査するとともに、三島駅南口周辺開発地下水対策検討委員会(以下「委員会」)において、その調査結果や事業計画などを確認いただいています。これまで、西街区の広域観光交流拠点整備事業におけるホテル建設に関しては、地下掘削の工法や杭を用いない直接基礎の採用、通水口の設置などの地下水保全対策の妥当性を検討してきました。3月の第4回委員会では、事業の進捗状況と併せ、地下水調査の結果から掘削工事による地下水の変化は無かったことが確認できました。今後も継続して地下水調査を実施するとともに、東街区の基本計画案の内容について、本委員会により検討・確認をしていきます。

第4回地下水対策検討委員会
  ▲第4回委員会は、3月7日に開催しました。

※広報みしま2019年4月1日号に掲載