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楽寿園の樹林(森)前編

ページID:0005436 更新日:2026年2月5日更新 印刷ページ表示

 園内の地形は、全体として概ね北側が高く南や東南、東側が低くなっており、溶岩の流下してきた方向は、主に北北西からということが分かります。
 園内には、いたるところで三島溶岩の露頭が見られますが、標高の最低は、三つの瀬の一つである「はやの瀬」から源兵衛川に合流するところで約26m、最高は北門付近の約40mで、高低差は約14mあります。この高低差は、北側から南側への一様な傾斜面ではなく、3つの段差があります。
 最低位をGL1面とし、その上を順にGL2面・GL3面・GL4面として北門と「はやの瀬」の断面を模式的に示すと図のようになります。
はやの瀬_断面模式図_楽寿園の自然
 最低位のGL1面の溶岩表面は、小浜池・三つの瀬でその末端部は表土や砂礫に埋没して見る事はできませんが、三島市街の中央台地を形成している基盤となっていると考えられます。
"> 溶岩層GL2面の標高は、約28~30mで楽寿館を乗せています。西側には「常盤の森」、東側には「さぎの森」があり正門へと続いています。
 溶岩層GL3面の標高は、約31~33mでのりもの広場や梅御殿を乗せています。
 溶岩層GL4面の標高は、約38~40mで北門や楽寿園管理事務所を乗せています。
 園内の森の面積は約5haです。各所に建造物や池等があり、森はいくつかに分かれております。これらの森には、特別に「小浜の森」「常盤の森」「さぎの森」「天神の森」「万葉の森」等の呼び名を持つところもありますが、調査の都合で下記のように区分しました。
 なお、調査を行なった年は、平成13~15年です

  1. 小浜の森(イ) 駅前口を入ったところ
  2. 小浜の森(ロ) 駅前口の東側
    (平成14年に取得し、再整備したところ面積4,469.98平方メートル)
  3. 常盤の森 楽寿館の西側
  4. さぎの森 正門から小浜池東側の渕
  5. 瀬の周辺 三つの瀬(はやの瀬、中の瀬、せりの瀬)の周辺
  6. 池の周辺 三つの池(あやめヶ池、みどりヶ池、すずめヶ池)の周辺
  7. 広場周辺 のりもの広場・どうぶつ広場周辺
  8. 天神の森 西門の北側
  9. 万葉の森 万葉歌に詠われた植物の植栽地

1.小浜の森(イ)(表1参照)

 この森の樹木は、溶岩層GL4岩上とその下のGL3岩上に生育しています。
 駅前口から南側にある各施設等に通ずる園路が林中に作られているので、各樹木のようすを容易に観察できます。
 多い樹種は、アラカシ、イロハモミジ、ヒサカキ、クヌギ、ヒメユズリハ等であり、全体としては約40余種生育している混種林です。
 広葉樹がほとんどですが、常緑樹と落葉樹の混成林です(暖帯林と温帯林)。
 したがって、林中へは落葉後の冬期にこぼれ日が入りますが、繁茂期には日射量は僅少で、林床には下草がほとんどありません。
 林中の樹木は密で生存競争が激しく、各樹木とも下部の枝は、順次枯れ落ちてしまいます。幹は単直幹で各樹種特有の姿は見られません。高木として、クヌギ、ケヤキ、ムクノキ等があり、樹高は約20m前後で林冠がほぼ同じです。
 中低木種はヒサカキ、アオキ、カマツカ、イヌビワ等があり、樹勢は良いです。
 大木は南側にあるセンダンとエノキです。特徴としては、海岸に自生することが多いヒメユズリハの実生樹が多く生育していることです。
 また、暖帯によく生育するカゴノキ(雌雄異株)が数本あり、樹皮が平滑で淡紫色、黒色の鹿子斑をみせているのが興味深いところです。

表1 小浜の森(イ)

表1
No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数
1 アラカシ 28 14 モチノキ 4 22 イヌツゲ 2 32 トベラ 1
2 イロハモミジ 26 14 マダケ 4 32 ハゼノキ 1 32 キンモクセイ 1
3 ヒサカキ 21 18 クリ 3 32 ツルグミ 1 32 モミ(枯) 1
4 クヌギ 12 18 アオキ 3 32 アカマツ 1 32 ネムノキ(枯) 1
5 ヒメユズリハ 11 18 ヤブニッケイ 3 32 カマツカ 1      
6 コナラ 10 18 イヌマキ 3 32 ヤマブキ 1      
7 エノキ 8 22 サザンカ 2 32 コノテガシワ 1      
8 カゴノキ 7 22 イタジイ 2 32 アケビ 1      
9 ケヤキ 6 22 イヌビワ 2 32 アカメガシワ 1      
9 クロマツ 6 22 カキ 2 32 ヤマフジ 1      
9 クスノキ 6 22 シュロ 2 32 ヤダケ 1      
12 ヤマザクラ 5 22 ウツギ 2 32 マユミ 1      
12 ヤブツバキ 5 22 シロダモ 2 32 ムラサキシキブ 1      
14 センダン 4 22 ツツジ 2 32 サルスベリ 1      
14 ムクノキ 4 22 ツツジ(植え込み) 2       (48種) 216

2.小浜の森(ロ)(表2参照)

 小浜の森(イ)の東側で標高約40mのGL4溶岩層上で、表土が僅少で植物の生育条件としては苛酷なところです。 平成14年に取得し、整備した4,469.98平方メートル(1,352坪)の区域です。
 高木は、園路の南側でコナラが多いが、幹が低く模様風であり他の所のものより樹高が低いです。
 低木としては、カマツカの実生樹が数多く生育し、地表面には苔類のムクムクが全面を覆い柔らかい緑で、特有の趣きを感じさせてくれる区域であり、このような区域は他にはありません。
 また、この区域には枯死したクロマツの大木の株跡が多数残っています。かつては、松籟も聴くことができたでしょう。
 この近くにある溶岩塚の断崖には、ハゼノキが生育しておりこの根が溶岩の縦の裂溝へ潜入しています。
 地中の水を求める厳しさが見られ、大変興味深い観察ができます。園路の北側には裂溝岩塊が多数あり、高木はやはりコナラが主です。溶岩塚もあってアカマツの大木が一本あります。
 ここの中低木としては、ヒサカキが密生しており、カマツカも多く見られます。地表面にムクムクが密生しているのは南側と同じです。

表2 小浜の森(ロ)

表2
No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数
1 イロハモミジ 50 12 キンモクセイ 5 22 ヤブニッケイ 1 22 ウメ 1
2 ヒサカキ 49 12 サザンカ 5 22 ヒイラギ 1 22 アカメガシワ 1
3 コナラ 44 12 モチノキ 5 22 ヒャクジッコウ 1 22 カナメモチ 1
4 イヌマキ(垣根) 40 16 サカキ 4 22 ドウダンツツジ 1      
5 カマツカ 30 17 タブノキ 3 22 トベラ 1      
6 アラカシ 20 17 ハゼノキ 3 22 ハナノキ 1      
7 シラカシ(垣根含む) 18 17 アカマツ 3 22 タラノキ 1      
8 ツバキ 17 20 ヤマザクラ 2 22 ケヤキ 1      
9 ヒメユズリハ 11 20 マユミ 2 22 クスノキ 1      
10 アオキ 8 22 クチナシ 1            
11 イヌビワ 6 22 カキ 1            
12 エノキ 5 22 オガタマノキ 1       (36種) 345

3.常盤の森(表3参照)

 この森は、主に楽寿館の西側の「国の天然記念物及び名勝」に指定された区域で、GL2面の溶岩塚上に生育している樹木が繁茂しています。樹種で30数種あり、本数の多いものはイロハモミジ、アラカシ等です。
 溶岩丘上を占有している樹種は、イタジイ、クスノキの広葉樹とイヌマキの針葉樹です。共に常緑樹であるため、林床の日射量は年間を通じて少なく、樹下の中低木と下草の生育が悪いです。この森の南側は小浜池に接して、樹高の高いケヤキの大木が樹勢よく生育しています。
 この樹木の枝葉は、四季を通じて池面に映りよい景観をつくっています。
 この森の楽寿館西側には、10数本のナギの成木と生育途中の実生樹の純林があり樹勢は良好です。このナギは暖かいところに自生する種であるので、移植されたものであると思われます。ナギは裸子植物ですが、広葉で平行脈があり、進化の中途形質をもつ「生きている化石」としても興味深い樹種です。
 また、天然記念物及び名勝区域の中門近くの園路脇にある溶岩上に生育しているイロハモミジ等の根元(根張り)のようすが、「座」しているように見える「岩上座相樹」は、ある種の趣きを感じさせてくれます。
 この地としては珍しい種のコウヨウザン(広葉杉)がスギと並んで生育しています。樹形、樹皮、根張り、枝張り等がよく似ていますが、葉の様子が異なっていることが観察できます。
 これも植物の進化を考えさせてくれる樹木です。

表3 常盤の森

表3
No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数
1 イロハモミジ 25 10 モミノキ 5 19 サザンカ 2 25 キンモクセイ 1
1 アラカシ 25 12 ヤブツバキ 4 19 カラスノサンショウ 2 25 イヌガヤ 1
3 ケヤキ 12 12 ハゼノキ 4 19 モッコク 2 25 タイサンボク 1
3 イタジイ 12 12 ナギ 4 19 マテバシイ 2 25 イチョウ 1
5 イヌマキ 10 15 ネムノキ 3 25 サンゴジュ 1 25 クリ 1
6 ヒノキ 8 15 モウソウチク 3 25 カキ 1 25 ヤマザクラ 1
7 クスノキ 6 15 コウヨウザン 3 25 ヒイラギ 1 25 サカキ 1
7 スギ 6 15 ヒサカキ 3 25 アカマツ 1 25 クヌギ 1
7 モチノキ 6 19 ムクノキ 2 25 カゴノキ 1      
10 コナラ 5 19 センダン 2 25 アオキ 1 (38種) 170

4.さぎの森(表4参照)

 この森は、園の東側にある正門と小浜池の東側の渕までの区間にあり、GL2面上に生育している樹木で形づくられています。
 この区域には、正門から北寄りに楽寿館前へ通ずる園路と、正門から南寄りに小浜池の東側を経て“小松の堤”に通じる園路があります。
 この森で数の多い高木は、ケヤキで50本余で特に南側に大木が多く、ケヤキとともに空間を比較的広くとり、直幹で最優占樹となっています。
 この西側の域には、大小のクスノキが、約10本あり樹勢がよいです。これ等ケヤキ、クスノキの樹下は地下水位が高いのですが、中低木がほとんどなく林床には、オカメザサが密生しています。
 二つの園路に挟まれた域には、スダジイ(一般にシイ)の大木が10本余生育しており、樹勢は良好なものが多いです。中には樹齢が300年以上の古木があり、幹の樹皮にはいくつかの縦裂が生じ、下部の大枝は枯死し、上部の枝も元気がありません。
 また、この域には中層木としてヤブツバキ約50本と多数のアラカシとヤブニッケイの実生樹があり、常緑広葉樹林相をつくっています。
 林床への日射量は少ないですが、園路の所々にイロハモミジ、ヒノキ、ムクノキ等の高木の広葉落葉樹もあり、冬期にはこぼれ日が入るので明るいです。
 この森で珍しい樹種は正門付近にあるトネリコで数本あります。樹高が20m余あり、幹は直幹で葉はケヤキに似ていますが、葉身の幅が広く落葉樹で、樹勢は良好です。
 また、正門の木戸前にあるケヤキは、溶岩の上に座しているように生育しているので、岩上座相樹の代表といえます。園内にはこのような相樹が数多くあります。
 この域の北寄りの園路の中程にあるブリスター近くには、カゴノキの岩上座相樹が容姿よく生育しています。
さぎの森1
さぎの森2

表4 さぎの森

表4
No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数 No. 樹種 本数
1 ケヤキ 53 11 エノキ 8 16 ウメ 3 30 ツルグミ 1
2 ヤブツバキ 47 12 コナラ 6 16 イヌマキ 3 30 イヌツゲ 1
3 イロハモミジ 27 13 クヌギ 5 16 ヤマザクラ 3 30 センダン 1
4 シイ 14 14 ツツジ 4 24 キャラボク 2 30 アオギリ 1
5 アラカシ 13 14 ヤブニッケイ 4 24 イタヤカエデ 2 30 イヌビワ 1
6 ムクノキ 12 16 モチノキ 3 24 カキ 2 30 トベラ 1
7 クスノキ 11 16 トネリコ 3 24 ヒサカキ 2 30 サザンカ 1
8 アカマツ 9 16 チャ 3 24 オオモミジ 2      
8 クロマツ 9 16 ウツギ 3 24 カゴノキ 2      
8 ハゼノキ 9 16 カナメモチ 3 24 イヌガヤ 1   計37種 275

 更に、この森の西側の小浜池近くに生育しているアカマツは「いこいの松」ともいわれ、園内一の名木で付近は景勝地となっています。
 アカマツの樹形は、単生で直幹、根まわりは約3m、目通り約2m、樹高は約10m弱です。
 四方への枝張りは釣り合いがとれ、樹齢約350年です。よく見ると、このアカマツは、溶岩上の表土の少ない所に実生樹としてはえ、根は溶岩の割れ目より地下水等を求めて潜入しています。幹の下部の樹皮はやや厚く、亀甲状に割れています。中・上部の樹皮はアカマツ特有の緋色に近くきれいです。このアカマツは、この森の西側の縁で生育しており、多量の日射量を受けているのでよく成長し、樹姿は落ち着きを与え賞賛に値します。
楽寿園の自然_アカマツ1
楽寿園の自然_アカマツ2


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楽寿園の自然 コンテンツ一覧

 

1)ジオサイト楽寿園(PDF2.96MB)

  1. 三島溶岩
  2. 御殿場泥流起源の転石
  3. 搬入された石材
  4. ジオポイントの説明

2-1)楽寿園の樹林(森)前編

  1. 小浜の森(イ)
  2. 小浜の森(ロ)
  3. 常盤の森
  4. さぎの森

 ​2-2)楽寿園の樹林(森)中編

  1. 瀬の周辺
  2. あやめヶ池、みどりヶ池、すずめヶ池周辺
  3. のりもの広場、どうぶつ広場

2-3)楽寿園の樹林(森)後編

  1. 天神の森
  2. 万葉の森
  3. 楽寿の森管理計画

3)楽寿園の湧水

 

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