(第189号) 荒れた竹林を宝の竹林に~「竹」の新しい活用 (平成16年2月1日号)

 竹は昔から日本人の生活の中で、タケノコ料理、箸、ざる、かごなど、さまざまな形で利用されてきました。しかし、1960年ごろに全国的なマダケの枯れ死とプラスチックの登場などにより、竹材の利用は激減しました。さらに、タケノコも輸入品が安く買えるようになりました。その結果、放置された竹林の拡大によって里山に異変が起き「竹林問題」として取り上げられるまでになりました。

 竹林は背が高く密生するため、他の植物が生育できず、同時に生物全体が生息できなくなります。拡張する竹林はスギ・ヒノキなどの人工林や、果樹園や茶畑、野菜畑にまで及び産業に影響を与えます。拡大する竹林の中央は立ち枯れや根が腐敗し地盤が弱くなり、土砂災害の発生が懸念されています。静岡県全体では1988年から2000年までの12年間で、竹林の面積は約1.3倍に増加していることが分かっています。
 「竹林は切って育てる」といわれます。適切に間伐することが竹や里山を守ることになります。
 現在、竹が単なる竹材としてではなく、その抗菌、消臭効果成分を利用した健康グッズ、またバンブー繊維やフローリング材等の工業素材として見直されています。

竹林の伐採の課題は、竹林が山中にあるため伐採後の道路までの運搬が難しいことです。そこで伐採後、破砕機でチップ化、パウダー化する試みが考案されました。これにより、運搬が容易になります。そのチップは廃棄処理に簡便ですが、二次利用方法として非木材紙などに加工するなどが検討されています。またパウダー化されたものを畜産飼料としての活用も現在試行されています。なお、バンブー・パウダーは、食用にも適しており饅頭などの地場産品として販売している地区もあります。
 伐採しても三~五年で成長する竹材は、リサイクルに非常に適した素材です。竹の加工方法の研究、伐採事業の方法に課題は残されていますが、竹の有効な活用は、里山を守り、地域の活性化をはかるために、今後おおいに期待されています。
(広報みしま 平成16年2月1日号掲載記事)