市街化調整区域における地区計画適用の基本的な方針

モータリゼーションの進展等を背景とした公共公益施設の郊外移転や、大規模集客施設の郊外立地などにより、都市機能の無秩序な散在が進行してきたことから、これを抑制する必要が生じたため、その一環として、平成18年のまちづくり三法による改正都市計画法により、市街化調整区域の大規模開発制度が廃止されましたが、これに代わる制度としての地区計画が注目されています。

 「市街化調整区域における地区計画適用の基本的な方針」とは、都市計画法第12条の5第1項第2号の規定に基づき市街化調整区域において地区計画制度を適用する場合の、市の基本的な適用方針のことをいいます。
 三島市では、市街化調整区域における秩序ある整備・開発及び保全を目的として、「第2次三島市市街化調整区域における地区計画適用の基本的な方針」を平成24年2月に、県の承諾を得た県内初の基本方針として策定しています。

はじめに

 我が国では、昭和40年代前半の高度経済成長期に、人口・産業等の急激な都市への集中が起こり、市街地の急速な拡大により、郊外への無秩序な市街化の拡散(スプロール化)が進行しました。それにより、道路、下水道等の都市基盤施設の整備や日常生活に必要な公共施設の整備が追随的なものとなり、公共施設整備に対する非効率な投資が余儀なくされてきました。  
 しかし、昭和43年の都市計画法の抜本的な改正により、無秩序な市街地の拡大を防止し計画的な市街化を図ることを目的として、市街化区域及び市街化調整区域に区分する線引き制度(区域区分制度)が創設され、以降の計画的な市街地形成に大きな役割を果たしています。
 三島市においても、隣接する沼津市、長泉町、清水町とともに東駿河湾広域都市計画区域として、昭和47年5月8日に市街化区域及び市街化調整区域に区分することを決定し、それにより無秩序な市街化の抑制に努め、計画的な市街地形成を図ってきました。  
 また、本市には年間2,000万人以上の乗降客がある三島駅や、約300万人の観光客が訪れる三嶋大社をはじめ、楽寿園や源兵衛川・桜川を代表とするせせらぎがあり、これら他市にはないアメニティを活かしたまちづくりが本市の特色でもあります。  
 近年、人口減少と超高齢社会の進展への備え、公共投資の効率性や低炭素化などの諸課題を踏まえ、中心市街地にシフトしたまちづくりであるエコ・コンパクトシティの形成が求められています。本市には、旧北上村、旧錦田村及び旧中郷村を拠点とする市街地が郊外に形成されており、今後は中心市街地と周辺拠点を有効に連携させた拠点ネットワーク型の集約都市構造の構築に向けた都市づくりを進めていく必要があります。  
 第2次三島市都市計画マスタープランでは、第4次三島市総合計画や第3次国土利用計画(三島市計画)の将来都市像を実現させるために、市域における土地利用や都市施設、都市環境の将来計画を定めております。  
 その中でも市街化調整区域は、市街化を抑制する区域であり、自然環境や農用地等の保全を図るべき区域であります。しかしながら、市域の3分の2が箱根西麓の山間丘陵地であり平坦地が少ない本市では、多くの制約条件のもとで土地の利用が行われており、スプロール化が当市の課題でもあります。  
 これらの諸課題を解決するためには、地区計画制度が有効な活用策であり、本基本方針(第2次)は、市街化調整区域における良好な市街地や生活環境の形成、また、拠点ネットワーク型の集約都市構造の構築を図っていくため、第2次三島市都市計画マスタープランの一項目として、地区計画の適用地区や地区計画に定める事項について定めています。

 「三島市市街化調整区域における地区計画適用の基本的な方針」(概要版)の内容は次のとおりです。

三島市市街化調整区域における地区計画適用の基本的方針概要版