(第239号)暮らしから生まれた人形~端午の節句と五月人形など~ (平成20年4月1日号)

 郷土資料館で開催中の企画展「☆み~つけた!暮らしから生まれた人形と生活の中の美☆」(平成二十年年三月十五日から六月一日まで)から展示品の一部を紹介します。  

雛人形  

 毎年三月三日は桃の節句として雛人形を飾り、女の子の成長をお祝いします。雛人形は、木や紙で作った「人形」に穢れや厄を移して川に流す習慣と、貴族の女子の遊びである「ひいな遊び」とが結びついて生まれたものです。  
 元来雛人形は、嫁入りの際に他の嫁入り道具と一緒に婚家に持っていくものでした。そして、古くなったり壊れた雛人形は「穢れや厄をはらう」という意味もこめて、神社(氏神)の神殿の縁の下などに置いてくる習慣がありました。

新三島十景絵はがき  

 昭和四十四年、新幹線三島駅設置を前に、この時代の三島の姿を後世に残そうと「新三島十景絵はがき」が作られました。絵はがきは、次に紹介する三島市美術展審査員十名によって三島の十カ所の風景が描かれました。

柏木俊一「富士と松並木」
山口源「玉沢妙法華寺」
細井繁誠「三嶋大社」
下田舜堂「楽寿園」
栗原誠「佐野美術館」
高梨勝瀞「三島駅」
杉本英一「遺伝学研究所」
芹沢晋吾「国分寺」
冬木徹「龍沢寺」
大沼貞夫「日大前並木」  

 どれもモノクロですが、画家それぞれの特色が生かされています。当時の三島の景色がわかる貴重な絵はがきです。

羽子板
 
 羽子板は、羽根を突いて遊ぶための道具です。羽根には、四枚の羽がついており、突かれて飛ぶ様が、トンボの飛び交う様子に見えます。トンボは、疫病を運ぶ蚊やハエなどの虫を食べることから、羽子板は子どもたちの無病息災への願いとつながり、女の子の初正月に羽子板を贈る習慣が生まれました。江戸時代には、歌舞伎の人気役者の押絵羽子板が誕生し、庶民の間に普及しました。

菓子木型  

 落雁や練り物などのお菓子の型をとるためのものです。型には、花や鯛などおめでたい形が彫られ、ひな祭りにお供えする金花糖と呼ばれるお菓子も、この木型を使用しています。しかし現在では工業化が進み、大量に生産することができるようになったため、菓子木型職人が減少してしまいました。
【平成20年 広報みしま 4月1日号 掲載記事】