ふるさとの人物から10  杉田呑山(どんざん) (文人画・漢詩)  (平成17年1月1日号)

 三島駅南口を下り、愛染(あいぜん)の滝の北側に、四角い傘をつけ「三島竹枝(ちくし)」と珍しい書体で彫られた石碑があります。これは昭和18年に建てられたもので、杉田呑山〈六江(ろっこう)〉とその門人たちが三島を題材として詠(よ)んだ漢詩集『三島竹枝』が埋められています。

 呑山は1854年豊橋市に生まれ魚市場を開設し事業家として活躍した後、文人としての道を歩み、漢詩は小野湖山、絵は渡辺小華に学び茶は宗偏(そうへん)流を極め、造園、建築にも優れた才能を示しました。

 三島を訪れたのは昭和8年呑山翁80歳の年、昭和18年までわずか10年余の滞在でした。しかしこの間に蛭海(ひるみ)文雄氏や河辺(かわなべ)泰氏など有力者達が門人となり、菰池(こもいけ)近くの翁の住居には向上心に富む知識人が集い、漢詩・茶・文人画などを嗜(たしな)む教育の場となったのです。

【広報みしま 平成17年1月1日号掲載記事】