建物のアスベスト対策について(その1)

アスベストに関する情報です。

アスベストとは?

 アスベストとは、「せきめん」、「いしわた」とも呼ばれており、天然の繊維状けい酸塩鉱物の総称です。
 耐熱性、耐薬品性、耐磨耗性等に優れているため建設資材や自動車など3,000種類を超える利用形態があるといわれています。

どこに使われている?

 アスベストは強度を備えた繊維構造なので、重さに比べて非常に大きな表面積を持っています。
 この特性を生かし、石綿スレートやビニールタイルなどの建設資材として使われてきました。

建物に使われているアスベスト含有製品は?

 アスベスト含有製品は鉄骨などの耐火被覆や結露防止として使用され、天井、壁、外壁、給排水管、保温材として多岐に利用されていました。

なぜアスベストが問題なの?

 アスベストはその繊維が極めて細く、容易に空気中に浮遊します。このため、人の呼吸器から容易に吸入されやすい特性持っています。  
 また、アスベストは丈夫で変化しにくいため吸い込んで肺の中に入ると組織に刺さり、15年から20年の潜伏期間を経て肺がんや中皮腫などの病気を発症する恐れがあります。  
 このため、アスベストを吸い込んだことに気づかないまま病気を発症することがあります。

規制の経過は?

昭和50年  発ガン性が高いとして、吹付け石綿、含有量5%超のロック・ウールについて原則禁止
昭和55年  アスベストを含む含有量1%超のロック・ウール吹付けを禁止
昭和63年  環境庁・厚生省通達「建築物に使用されるアスベストに係る当面の対策について」
 文部・厚生・環境・建設省通達「吹付けアスベストの調査」
 建設省通達「既存建築物の吹付けアスベスト粉塵飛散防止対策の推進について」
平成元年  特定粉じんとしてアスベストを指定。
 「大気汚染防止法」を改正し、アスベスト粉じん発生施設の敷地境界における濃度基準を設定
平成3年  「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を改正し、撤去した吹付けアスベスト等の廃石綿は「特別管理産業廃棄物」に分類
平成7年  「労働安全衛生法施行令」が改正され、青石綿、茶石綿それらを含有する製品の製造、輸入、供給及び使用を禁止
 「労働安全衛生法施行令」が改正され、1%を超える吹付けひる石等を製造、使用禁止対象に追加
平成9年  「大気汚染防止法」が改正され、建築物の解体、改修で吹付けアスベストの除去作業を「特定粉じん排出作業」に指定
 作業開始14日前までに地方自治体に対して作業計画の届出、撤去作業基準の遵守を義務化
平成16年  「労働安全衛生法施行令」が改正され、白石綿で含有量が1%を超える石綿含有製品について、製造、使用が原則禁止
平成17年  「石綿障害予防規則」が施行され、アスベストが使用される耐火被覆材等の除却作業が事前届出制に

民間建物に対する吹付けアスベストの改善指導は?

 民間建物の改修相談については、(財)日本建築センター発行の「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止対策」に基づき行います。  
 また、店舗や劇場などの特殊建築物の場合には、日本建築防災協会、国土交通省監修の「特殊建築物等定期調査業務基準」で鉄骨建物の耐火被覆の状況を調査する際にアスベストの含有材が使用されているかどうかについても調査することになっており、使用されている場合は「定期調査報告書」に要注意の指摘をします。

見えない部分は大丈夫?

 アスベストは繊維が空気中に浮遊した状態にあると危険であるといわれています。  
 露出して吹付けアスベストが使用されている場合、劣化等によりその繊維が飛散する恐れがありますが、成型品や天井裏、壁内部にある吹付けアスベストからは、通常の状態では室内に繊維が飛散する可能性は低いと考えられます。

建物にアスベストが使われているときはどうすればいい?

 「石綿障害予防規則」において、吹付けられたアスベストが劣化等により粉じんを発生させ、労働者がその粉じんに暴露される恐れがあるときは、除去、封じ込め、囲い込みなどの措置を講じなければなりません。
除去処理工法  吹付けアスベストを下地から取り除く方法
封じ込め工法  吹付けアスベストはそのまま残し、薬剤を浸透させ固めたり、薬剤で覆ったりして繊維を飛散させないようにする工法
囲い込み工法  吹付けアスベストはそのまま残し、アスベスト繊維が飛散しないように周りを囲う方法

ロック・ウールとは?

 岩綿といわれていますが、石灰石、玄武岩などを熱溶解させこれを繊維化したものです。  
 繊維は非結晶質で直径3~10μmのガラス状です。(アスベストの直径は0.02μm~0.03μmです)

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