建物のアスベスト対策について(その2)

アスベストに関する情報です。

ロック・ウール吹付け材は大丈夫?

 ロック・ウール吹付け材でも昭和55年までのものはアスベストが混入していますので吹付けアスベストと同様の注意が必要です。

建材にアスベストが使われている場合、建築基準法上問題はあるか?

 建築基準法においてはアスベストの使用禁止制限はありませんので、建材にアスベストが使われているだけでは法律上の問題はありません。

吹付けアスベストを処理したいが、撤去後はそのままにしてよいか?

 アスベストが柱や梁の耐火被覆として吹付けられていた場合には、撤去後も耐火性能を維持することが必要になります。  
 このような場合は建築士などと相談し、法律上必要な耐火性能を維持できるよう改修計画を立てる必要があります。

除却工事や改修工事で生じるアスベストの除去はどうしたらいい?

 吹付けアスベスト等を除去処理するには、準備作業(施工調査、施工計画、安全管理)、除去処理工事、検査および後片付け、施工記録の順に従って行います。
準備段階  除去に伴いアスベストが作業スペースから外部に飛散させないためにプラスチックシートなどを用いて隔離します。また、作業者は呼吸用保護具およびアスベストが付着しにくい作業衣服を使用します。
除却処理工事  除却するアスベストは薬剤などにより十分に湿潤化し、その後撤去します。
 「密封処理」の場合は、除却したアスベストを粉塵飛散抑止剤などを散布して湿潤化して密封します。
 「固化処理」の場合はセメントなどにより固化する方法と溶解施設で固化する方法があります。
 どちらとも除却したアスベストなどの保管、運搬、処分は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の規定を遵守し、「特別管理産業廃棄物処理業者」が「特別管理産業廃棄物」として最終処分を行います。
検査・片付け  撤去作業終了後、作業スペースを高性能真空掃除機で清掃を行うとともに、隔離するために使用したプラスチックシートなどは付着したアスベストが外部に飛散しないように飛散抑制剤などを散布する作業を行います。
 施工記録については、施工記録報告書を作成するとともに、作業者の作業記録は30年間保管することになっています。

アスベストを含んだ建材は今も使われているか?

 平成16年10月1日の「労働安全衛生施行令」の改正で、重量の1%を超えて含有する白石綿の石綿製品の製造、使用が禁止になりました。
 これにより、現在、建築工事で使用している材料にはアスベスト1重量%を超えるアスベスト含有製品はないと考えられます。

平成17年7月1日に改正されたアスベストの解体に関する内容は?

 これまでアスベストに関する法令や規制は、含有製品の製造や使用禁止、除却などアスベスト処理作業時の作業員の健康対策に関するものだけでした。  しかし、今後はアスベスト使用の可能性がある既存建築物の老朽化が進み、増加が予想される解体作業によってアスベスト飛散による被害が拡大、顕在化することが予想され、より効率的、かつ抜本的なアスベスト対策が求められていました。
 以上のことにより、平成17年7月1日に施行された「石綿障害予防規則」は建物の使用時からアスベストの除去を行う解体工事までの範囲で利害関係者に対する措置を定めた内容となっています。
 アスベストの解体作業による暴露防止対策については、「労働安全衛生法」に基づく「特定化学物質等障害予防規則」で定められていましたが、対策の徹底を図るべく新たに規則を単独で取扱い、内容を拡充したものが「石綿障害予防規則」です。

アスベストに係る法規制は?

労働安全衛生法  青石綿、茶石綿、1重量%超のアスベスト含有製品の製造などを禁止。
 青石綿、茶石綿等の名称等の表示義務。
 粉じん作業にかかる業務に従事する労働者に健康管理手帳を交付する。
 吹付けアスベストの除去作業にかかる機械などの計画届出を義務付ける。
石綿障害予防規則
(平成17年7月1日施行)
 アスベスト、アスベスト含有製品の製造、取扱いの管理基準を定めます。
 吹付けアスベストの使用の有無を解体前に事前に調査を実施する。
 アスベストが使用されている建物の解体などを行うときには、作業計画を定める。
 吹付けアスベスト等の除去作業を行うときは、関係者以外の現場内への立入りを制限する。
 アスベストを含む建材などを解体する時、湿潤なものとする措置を定める。
 耐火建築物、準耐火建築物の吹付けアスベスト除去作業については14日前までに労働基準監督署長に届出。
 アスベスト含有保温材、アスベスト含有耐火被覆、アスベスト含有断熱材の解体作業については、解体前までに労働基準監督署長に届出。
 大気汚染防止法の適用除外であっても「静岡県生活環境の保全に関する条例」が適用されます。
廃棄物の処理及び
清掃に関する法律
 アスベスト含有の廃棄物(成型品)は通常の産業廃棄物に該当し処分を行う。
 「特別管理産業廃棄物」に該当するアスベスト含有廃棄物とは、吹付けアスベストなどの廃棄物をいい、具体的な処理法を定め処理基準を通常の産業廃棄物に比べ厳しく設定している。
建設リサイクル法  吹付け石綿その他の対象建築物等に用いられた特定建設資材に付着したもの(以下「付着物」という。)の有無の調査。
 付着物の除去その他の工事着手前における特定建設資材に係る分別解体等の適正な実施を確保するための措置を講ずる。

除去したアスベストの処理は?  解体・改修時に事前調査を実施しなかったらどうなる?

除去したアスベストの処理
   アスベストは特別管理産業廃棄物にあたり、管理型最終処分場で処分されます。

解体・改修時に事前調査を実施しなかったら
 罰則規定の対象になります。「労働安全衛生法」第58条において「事業者の行うべき調査等」という規定によりこれを怠った場合には、6ケ月以下の懲役、50万円以下の罰金が科せられます。

アスベストに対する国の対応は?

環境省の対応  「大気汚染防止法」に基づく建物解体時の規制を強化するため、吹付けアスベストだけでなくアスベストを含有する建材なども規制の対象とする考えです。
 アスベストを使用した建物を解体する際の自治体への届出基準の見直しを検討する検討会が開催された。
 「大気汚染防止法」では延べ面積500平方メートル以上で、吹付けアスベストの面積が50平方メートル以上の建物を解体する場合に限って届出を義務付けられていたが、規模要件の撤廃を検討。
国土交通省の対応  増改築時の建物全体からのアスベスト除去の義務付け、飛散の恐れのある有害な建物に対し必要な措置が取れるように勧告できるような内容の建築基準法の改正をしてアスベストの使用を規制していく予定。

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